Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

読書記録。

2019.05.24 01:42

おじいちゃんは、私がまだ小さい頃本屋さんを営んでいた。

カウンターの中に小さめの脚立があって、その上に座ってカウンターでよくお絵描きしていた。


欲しい本があればいつでも読めるし、欲しい本を毎月貰った。

月間の本についている付録は、卸業者に返さなくてよかったので段ボール箱の中から欲しいものを持って帰った。


私が小学生の頃は引っ越してしまい、年末年始くらいしか帰れなかったので、本屋さんからも次第に遠ざかってしまった。


それでも毎月欲しい本を送ってくれた。

小学2、3年生頃からは、2時間目の後の少し長い休み時間にはいつも図書館で、読み方のわからない漢字が並んだ分厚い小説を何冊か借りて、賢くなった気でいた。

活発でクラスで1番の問題児だったけど、漢字の書き取り100問が2枚あったテストもクラスで唯一全問正解だった。


朝、ごはんを食べながらテレビを見ていると、本の週間ランキングが発表されていた。

四つ葉のクローバーの表紙を見て、興味が湧いた。

当時四つ葉のクローバーが好きで、筆箱、裁縫セットなどなどはクローバーのデザインを選んでいた。

早速おじいちゃんにリクエストして、手に入れた。

グッドラックという本。

当時小学3年生だった私は、難しい漢字が出てきたら漢字辞書を開いて蛍光ペンを引き、付箋を貼りながら読み進めていた。

小学生ながらに意味を理解しようと読んだ。

でもまた大人になったらちゃんと理解できるようになるんだろうな、なんて思って本を閉じた。


苦しい時、勝負の時、いつもその本を持ち歩いた。

そのせいで表紙はボロボロ。

少し破れかかっている。

でもブックカバーをしてしまうと四つ葉のクローバーが見えない。


おじいちゃんは中学生の頃に店を畳んだ。

本が売れない時代、だから。


それでも気づけばまた、今も本に恵まれた場所に住んでいる。

家から走ればすぐ図書館がある。

自転車で10分走ればTSUTAYAもあるし、15分走ればBOOK OFFもある。


知りたいという誘惑がいつも襲ってくるし、辛い時、つい本に頼ってしまおうとする。


気づけば自己啓発本ばかり読んで、インプットばかり、アウトプットする気持ちの余裕すらなかった。


久しぶりにあるエッセイを読む。

すっと心に何かが落ちた気がした。

他人にああだこうだ言われる筋合いなんてなかった。

自分が自分を制限していたし、自分が自分を苦しめていた。

他人にどう思われていようが、自分がどう思うかの問題だった。

過去に囚われていた。

過去を悔やんでも、見つめても、今は微動だにしない。

過去にサヨナラを言えていなかったな。

今の苦しさは、過去に残した思いを成仏できていないからだった。

まだ人生の3分の1も生きていないのに、悔やむことなんてなかったんだ。

先の方が長い。

今をどう面白くしていくか。

今をどう楽しむか。

今をどう幸せにするか。


全部自分にかかっていた。


今日をどう生きるか。

それは自分の手の中に。