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サブマリン・フラッドホール

荒川城砦ゲリラ戦線のほとりにて

2019.05.23 10:28

異世界修学旅行

如月雪親くんお借りしてます。


 どかん、とも、どおん、ともつかない音が響く。それはどこからともなく響きわたって輪唱している。ぷん、と鼻をつんざく臭いもする。糞のような強烈な臭いが遠くからする。流石にその臭いまでは酢漿草の予想の中に入っていなかったが、おそらく何時ぞや見かけた一揆を起こす少年たちの仕業だろう。なによりここは無法地帯であるし、それよりも面白いことならば法に触れることでもしかねないヒトが多くいる。一揆は広くヒトを呼んでいるかもしれない。その中に糞を使うことを提案した人物もいるかもしれない。

 はあ、とため息をついた酢漿草は、肩に背負っていた如月をかかえ直して、斜面を下る。一番近い爆発音は斜面の下からだ。道中のあらゆる障害物を蹴り倒しながら駆けていけば、鉄パイプやら農機具やらで武装した人影が白衣の人物たちと戦闘を繰り広げている。耳元では如月が悲鳴を噛み殺している。酢漿草は下り坂を全速力で駆け下りて、坂の終わりが見えるところで踏み切る。

 一番近い白衣の男の頭部を全体重をかけて踏み、その奥にいた男を、踏みつけた男を足場にして飛び寄る。片腕が塞がっているために、酢漿草は思い切り頭突きを食らわせる。石頭といわれる彼の頭を、勢いよく叩きつけられた女はふらついて距離をとる。とろうとした。着地と同時に酢漿草は空いている腕を振りぬき女を気絶させる。

 武装していた市民たちは、酢漿草の大立ち回りの間に撤退していたらしく、周囲には人っ子一人いない。


「少年、君の友人はここにいるか?」

「え!? み、見当たらないわ!」

「そうか」


 そう言うと酢漿草は如月をかかえ直して走り出す。一揆に賛同するつもりはさらさらないが、そこに彼の友人がいるなら送り届けるのが先決だからだ。

 どこからか爆音が聞こえる。糞の臭いは遠くからぷん、と鼻をついてしかたがなかった。