37.外資系企業はゴミ屑箱
最近の優秀な大学生に就活はどうするのか、と聞くと必ず帰ってくる返事は外資系でありコンサル企業が多く、これには正直にいって驚ろかされてしまいます。アドバイスを求められると、私は「貴方が優秀な人間ならば外資系やコンサルからはいつでも声が掛かるはずです。それまで、日本のメーカーに入社して勉強することをおすすめします。特に現場の仕事は積極的に就き経験を積んでください。必ず将来役に立ちます。会社の選択には社員教育プログラムの有無が鍵です」と答えています。
学校を卒業する、これを学ぶことの卒業だと考えるのは早計です。社会人になって、初めて実学の勉強がスタートします。その学びの機会の有無が企業選択の鍵です。積極的に社員教育に取り組み社員の成長を援助するのは企業の責務だと思います。現在でも多くの外資系企業は社員に即戦力を求めており、新人社員よりも中途入社に向いている企業であることは昔と変わっていないはずです。
しかし最近の外資系の評価は変わり人気度の高い企業になりましたが、実像と虚像のギャップは入社してから悟るはずです。私が入社した当時の外資系の評価は、優秀な学生は日本企業に就職し、就職活動に失敗した学生がやむを得ず外資系に、いわゆる「でもしか」学生達でした。それが大きく変容したのは、バブルがはじけた1990年代になってからです。国内経済の景気が停滞した結果、日本企業のユニークな制度であった終身雇用制や年功序列が崩壊し日本企業の魅力度が低減してしまいました。少し表現は悪いが「特に外資系の化粧品会社はゴミ屑箱だ。日本企業に受け入れられなかった人間がいくところ。しかし、そんなゴミために綺麗な一輪の花を咲かせよう。それに私たちがなりましょう」これは私がエスティローダのマーケティング部員に言った入社当時の言葉でした。
東日本の営業部長の悪さ加減について、私を採用した直接の上司であるエスティローダ事業部長に相談に行きました。返ってきた言葉が「それは相手の方が悪い、よく言っておきましょう」。その言葉に安心して様子を見ていると、彼は営業部長に「今度のマーケティング部長は少し調子に乗りすぎる。突き上げてやれ」と全く正反対のことを言っているのです。彼の経営スタイルは、部下同士間に“いがみ合い”を惹起させ、そのアンバランスの上にバランスを保つ考えでした。まったく驚かざるをえません。さて、上司からも応援を得ることができません。どうすればよいのか思案のしどころでした。