ジョン・ハンケ 世界をめぐる冒険 グーグルアースからイングレス、そしてポケモンGOへ
Keyholeから始まり、GoogleMAP/Earth、Ingress、PokemonGoと、位置情報の先陣を切って次々と革新的なサービスを産み出して来たジョン・ハンケ。彼に焦点を当てた本がAmazonでレコメンドされていたのでつい手に取って読んでみました。
そもそもジョン・ハンケという人物自体に興味を持ったきっかけは、こちらの本でGoogleMAPに関して読み進めているうちに気になってきたという感じです。以下に書いた内容は重複しちゃうので割愛します。
ジョン・ハンケについてはWeb上でいくつも情報が転がっていますが、実は結構日本とのゆかりが深い人物なんだと言うことに驚きました。直近の任天堂とかポケモンの関係もあるでしょうが。
小さい頃はスターウォーズやスタートレックなどの作品が好きで影響を受けたらしく、Ingressは特に色濃いです。Ingressのゲーム自体が、enlightened(覚醒者)とresistance(抵抗勢力)の勢力で別れた陣取りゲームになっており、スターウォーズの世界観などを彷彿とさせます。
■ナイアンティック社名由来
1849年のカリフォルニアゴールドラッシュ時代に一攫千金を夢見た鉱夫を運んだ船の名前です。今の西海岸の繁栄はこうした船が無謀とも言える夢を見た人たちを運んだ上に成り立っており、ナイアンティックでもそれを実現させたいとの想いがあるようです。ロゴマークはジュール・ベルヌの「80日間世界一周」から来てるのだとか。
■Ingressの思想
The World is the Game(世界がゲームの舞台である)
Move to Play(動いてあそぶ)
Social(現実世界の友情をつくる)
Urban Exploration(新たな視点から街を見る)
IngressでもPokemonGoでもGoogleMAPでも共通していて、共感できる思想は、「現実世界との結びつき」が強く意識され、「人々のリアルな動きがより活発になる」という点です。引きこもりの人がPokemonGoのためにコンビニまで毎日出かけたり、きっかけは何でも良いと思うのです。
■メンバーの日本贔屓
メンバーのホワンは、本書の中で、攻殻機動隊や機動戦士ガンダム、新世紀エヴァンゲリオン、鉄人28号などに大きな影響を受けてきた人物として描かれています。ジョン・ハンケ自身もそうですが、ナイアンティック社自体が日本の影響を受けた会社のように感じます。
■日本企業との関わり
Ingressではローソンとの提携が行われていますが、もともとGoogleと良好な関係があったようです。ローソン側がナイアンティックの思想をよく理解していてくれたのだと。エージェントが街なかを歩き回る中で、疲れた際に立ち寄る休憩所としても機能しています。伊藤園なんかも提携先のようです。
■コミュニティ
かつてITの可能性をものすごく感じたきっかけはmixiでした。それが今やO2Oなども含めた現実世界⇔仮想世界でのコミュニティに広がりつつあり、とても面白い時代になってきたな、と感じます。そして更にもっと面白い世界がこれからやってくるのでしょう。
■ポケモン
PokemonGoの始まりは2014年頃に、Ingressの次に何を仕掛けるか、のブレストで産まれたようです。コンセプト自体がナイアンティックの思想とも非常に相性がよく、自然と、速攻で採用が決まり、その後もトントン拍子で話が進んだようで。こんな風にプロダクトマーケットフィットが抜群に上手く行くようなプロダクトを手掛けたいものです。
ポケモンのプレイヤーがポケモン図鑑を持ってゲーム世界を歩き回るように、現実世界でPokemonGoプレイヤーはスマホを持ち歩いてデータを集めます。その世界観がお互いにとって類似点が多くあるようです。
また、ポケモンカンパニーの石原さんが、Ingressの高レベルエージェントであった事もあって、話はよりスムーズに進んだのだとか。
任天堂にしても、WiiFitを始め健康志向などの中長期的な視点が企業内で起こっており、PokemonGoの歩き回る(エクササイズ)コンセプトにマッチしていたのだと。ゲームは普通は屋内で引きこもって画面に向き合ってやるイメージが強いですが、これからのゲームは健康志向と結びつくものとなって行きそうです。
■ダウンロード
最後に数値的な規模感ですが、やはり驚きの数値です。例えば、Ingressは2013/12のサービスinから2年以上で1400万ダウンロードです。(これも十分すごい)
一方で、PokemonGoは開始わずか1ヶ月で1.3億ダウンロード言ったのだとか。しかも、広告やマーケティングは一切やっていないそうです。すごすぎて笑えます。