いまさら聞けない(?)キャブのお話
FI(フューエルインジェクション)バイクに搭載されるようになってから早くも10年以上
(GPZ750とか除けばね)は経つわけですが
まだまだ根強いキャブレター。セッティングで悩んでる方も多く、当店でもちょくちょくアドバイスや
実作業があります。
SRなんかですと、よくFCRにアップデートするのが常套手段な訳ですが、
キャブレターの内部構造、各パーツの担当役割などを理解していないとセッティングも苦労する訳で。
という事で、自分も含めてここで改めておさらいの意味を込めまして書いてみようかと思います。
一回で書ききれないので、何回かに分けて書きます。
今日は基礎編
CVキャブレター(負圧キャブレター)と強制開閉式の違いと各パーツの位置や役割など
こちらがキャブレターです。真ん中にある「ツッコミ用」と書かれた灰皿はつっこみなしで無視してください(笑)
画像左側がSR400に純正で採用されているCVキャブです。
右側が同じくSR用のFCR。
純正CVキャブはこの様に上にゴムの部品(ダイアフラムといいます)と一体化したスライドバルブが居ます。画像には写ってませんがスロットルワイヤーと連結されているのはこのダイアフラムではなく
スロットルバタフライと言う部品がワイヤーと繋がっております。
で、アクセルをひねると(開けると)スロットルバルブが開いてエンジンへ空気とガソリンが混ざった
「混合気」と言うものを送ろうとします。
このダイアフラムの下に針状の部品がついてますよね?これが「ニードルバルブ」と呼ばれる部品です。
針の直径(ストレート径)や針のテーパー角度・テーパーが始まる位置(切り上げ角)が決まっており、
このダイアフラムが上下運動することで針の位置も同時に動いてガソリンの吐出量を決めてます。
でもこのダイアフラムは上でも述べたとおりスロットルワイヤーに繋がってません。
じゃあどうやって上下運動するの?といいますと、ワイヤーと繋がったスロットルバルブが開くことで
キャブレター内部の空気が通ろうとする量の変化
つまりはエンジン側からの吸おうとする負圧に連動して上下運動をします。
簡単に言えばワンテンポ遅れてダイアフラムは動作します。
メリットとしては、スロットル操作に対して一瞬遅れるので初心者でも操作しやすい(コントローラブル)
などですが、
反面デメリットとしては
スロットル操作に対して「ダルい」
ニードルバルブの変更が基本的に出来ない。セッティングの幅が狭いということになります。
対してこちら強制開閉キャブ。
見ての通り、スロットルワイヤーで動作するスロットルバルブが完全に連携して動きます。
文字通り「強制的に開閉する」キャブです。
ダイアフラムのようなワンテンポ遅れる動作はせずにスロットルの操作量にダイレクトに反応しますので
欲しい時に欲しい量の混合気がエンジンへ送られます。
そして、レース用のFCRやTMRの場合はニードルバルブも豊富に販売されていますので細かいセッティングを取ることが可能です。
強制開閉式にも初期SRであったVMも該当しますが、こちらはニードルバルブにやはり幅が無くセッティングを細かく取るのがちょっと大変。
昨今、初期型ルックにカスタマイズするのが流行っているのもあり、VMが高値で某オークションなどで取引されてますよね。
う~ん。見た目も大事なのは判りますが、個人的には操作感も軽いCRやFCRの方が良いかと思います。
状態の良いVMも減ったしね。
ちょっと話が長くなってしまいましたので今日はこの辺で。
また続きを書いていきたいと思います。