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TURTLE MARKETING ACADEMY

45.アジアのなかの日本

2019.05.29 14:26

アメリカから帰国し約10年経ち、縁が合ってエスティローダー社に入社し、韓国を含めアジアの諸国の橋渡しの仕事ができる機会が訪れたと思いました。初めて、エスティローダーのグローバルミーティングに参加した時のことです。そこには世界中からマネージャーが参集し翌年度のマーケティングプランが話しあわれました。また、サブミーティングとしてリージョナルミーティングが開催され、太平洋地区の関係者だけが別途集まりアジア固有の諸問題について論議されました。政治の世界では友好関係を築くことは容易(たやす)くありませんが、エスティローダーというブランドの世界では、それが可能になると思いました。日本がアジアのお手本にならなくてはならないとばかり、意気込んで会議に臨んでいました。

日本人は「沈黙は金なり」とばかりに、会議では積極的に発言しませんが、これは世界では通用しません。日本人の場合、多分、「発言しない」ではなく、英語のハンディがあるので「発言できないから」といったほうが正しいかもしれませんが、世界では主体性をもって発言し行動することが求められます。しかし、私は無理してでも、アジアのどの国よりも率先して自分の意見だけは発言しよう思い周りを見ていました。すると、アジアの国々の人々は日本がアジアのとりまとめ役を演じることを期待しているように見えたのです。この背景として、当時は日本の売上がダントツに大きかったせいもあったかもしれません。

「アジアはひとつ」のテーマで日本がリーダーシップを取れるか、これは私にとって大きなチャレンジでした。日本は顧客サービス面では、卓越したスキルとノウハウをもっているはずで、アジアの国々にとって日本がお手本になることができるかもしれません。そのように思っていました。その後、しばらく時間はかかりましたが、具体的に行動に移したのは、ビューティアドバイザーの交換留学、メークアップアーティストの派遣、メークアップコンテストの共同開催などでした。詳しくは別章にゆずるとして、個人的には夢が叶えるかなと嬉しく思っていました。

 

エスティローダーを辞してからも機会があれば日韓の問題解決に貢献したいと思っていたところ、ウンファ社(本社は韓国)から顧問の話があり、即決して応援することにしました。ウンファ社の開発した「トビョル化粧品」は植物幹細胞の抽出と培養に成功した画期的な化粧品です。とてもユニークなコンセプトで、市場導入の成功のために応援できることがあると思いました。トビョルに関わりあって、当然のことですが、韓国の人達とトビョルを通して知り合う機会が多くなりましたが、日韓問題の根の深さ(韓国側からの)は予想以上だと感じてしまいました。多分、問題解決には気が遠くなるほどの時間が必要になるかもしれません。残念ながら、ウンファ本社の事情で日本から撤退してしまいました。