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令和元年5月 月例インターネット句会 Vol.87結果発表

2019.05.31 07:50

木暮陶句郎 選

◎特選 8句

若葉寒心の旅をした少女(鈴木由里子)

万葉の歌碑は恋うた山つつじ(須藤恵美子)

水遣りの光る葉先に天道虫(清水 檀)

真打ちの脱ぐためだけの夏羽織(星野 裕子)

限りなく水透明に新樹光(岩佐 晴子)

水色の夏を旅して軽ワゴン(鈴木由里子)

春が逝くなり仲見世の造り花(里村 閑)

相撲中継漏れ来る路地や鉄線花(中野 千秋)


〇入選 30句 

本丸の縁の彩り八重桜(阿部ひで希)

雲厚き令和の夜明け五月雨るる(稲葉 京閑)

散り急ぐ花とラケット交差する(髙橋千登世)

青薄風の尋問繰り返す(星野 裕子)

桜蘂ふる皇女泊まりし館かな(鬼形 瑞枝)

夕日洩る新樹連なりあふ嶺に(堤 かがり)

初ゆかた黙つてつかふ姉の紅(ななさと紅緒)

夏服や聖母のやうな青を着て(中野 千秋)

梅は実となりたるよりの雨の日々(稲葉 京閑)

平成の最後の仕事籾をまく(鬼形 瑞枝)

若葉風ボール拾ひの部活動(堤 かがり)

夏の夜エンドロールが掻き毟る(鈴木由里子)

やはらかく山湖を濡らす余花の雨(須藤恵美子)

短夜の男のシャツを着て眠る(中野 千秋)

初夏の眼鏡の隅の青みがち(杉山 加織)

雨雲の厚さに届け揚雲雀(稲葉 京閑)

雨匂ふ銀竜草はほの青し(星野 裕子)

古茶新茶ながら作業の得意な娘(鈴木由里子)

源泉の渓の底より河鹿笛(須藤恵美子)

新緑の先つぽをさすガラス瓶(中野 千秋)

花薔薇の襞の闇濃き雨催ひ(杉山 加織)

揚雲雀いつぱい鳴きて落ちにけり(稲葉 京閑)

庭園の錆びたつり橋山滴る(鬼形 瑞枝)

初夏の風の拡ごる楠大樹(里村 閑)

前掛けの魔法のポッケ母の日来(ななさと紅緒)

磨きたる鏡やガラス聖五月(中野 千秋)

夏立つやクリーニング屋混みあひて(髙橋千登世)

今日もまた物言はぬ夫梅雨曇り(鬼形 瑞枝)

故郷やラヂオの奥の祭り笛(安部じゅん)

芍薬の雨呼ぶ風となりにけり(ななさと紅緒)


互選

5票

万葉の歌碑は恋うた山つつじ(須藤恵美子)


4票

初ゆかた黙つてつかふ姉の紅(ななさと紅緒)

やはらかく山湖を濡らす余花の雨(須藤恵美子)

短夜の男のシャツを着て眠る(中野 千秋)

天体の切手で投句夏に入る(松本由美子)

青春の影と光とソーダ水(木暮陶句郎)

芍薬の雨呼ぶ風となりにけり (ななさと紅緒)

相撲中継漏れ来る路地や鉄線花(中野 千秋)


3票

青薄風の尋問繰り返す(星野 裕子)

フルーツのやうな肩先夏の蝶(ななさと紅緒)

限りなく水透明に新樹光(岩佐 晴子)


2票

散り急ぐ花とラケット交差する(髙橋千登世)

光あり影あり薫る風のあり (里村 閑)

夏服や聖母のやうな青を着て (中野 千秋)

若葉風ボール拾ひの部活動(堤 かがり)

七色の鳥語に明くる立夏かな (里村 閑)

清濁を呑んで大人に半夏生 (岩佐 晴子)

ラケットは風に向ひて五月来る (髙橋千登世)

真打ちの脱ぐためだけの夏羽織 (星野 裕子)

草笛かもしれぬ牧の風にのり(堤 かがり)


1票

本丸の縁の彩り八重桜 (阿部ひで希)

薔薇香る府中にG-Iファンファーレ(森田 遊馬)

大海へ旅始まりぬ岩清水 (岩佐 晴子)

若葉寒心の旅をした少女 (鈴木由里子)

踏めぬものに吾が影と花薔薇と (杉山 加織)

能舞台詩吟演者に花吹雪 (竹俣 修)

緑雨かな傘打つ音はメゾフォルテ (森田 遊馬)

光より先回りして春の闇 (星野 裕子)

令和から始まる未来花は葉に (松本由美子)

平成の最後の仕事籾をまく (鬼形 瑞枝)

夏の夜エンドロールが掻き毟る (鈴木由里子)

薫風の百筋走る山上湖 (木暮陶句郎)

初夏の眼鏡の隅の青みがち (杉山 加織)

さりげなく膳を彩る豆の飯 (森田 遊馬)

雨匂ふ銀竜草はほの青し (星野 裕子)

格別な憩ひとなりし新茶かな(堤 かがり)

花薔薇の襞の闇濃き雨催ひ (杉山 加織)

笹伝ふ春告鳥の塒かな (阿部ひで希)

水遣りの光る葉先に天道虫(清水 檀)

釣舟の櫂こぐ音も夏はじめ (須藤恵美子)

初夏の風の拡ごる楠大樹 (里村 閑)

前掛けの魔法のポッケ母の日来 (ななさと紅緒)

この先の葉桜の径二の丸へ (阿部ひで希)

若葉風光る翡翠のペンダント (松本由美子)

故郷やラヂオの奥の祭り笛 (安部じゅん)

坂道の多き故郷桐の花 (堤 かがり)

背の縮み裾上げせねば更衣 (岩佐 晴子)

春が逝くなり仲見世の造り花 (里村 閑)

鯉の目を隠して雨の吹流し (木暮陶句郎)

再会を待ち焦がれたる薔薇の席 (杉山 加織)



互選結果

◎須藤恵美子 選

雨匂ふ銀竜草はほの青し

青春の影と光とソーダ水

花薔薇の襞の闇濃き雨催ひ

限りなく水透明に新樹光

初夏の風の拡ごる楠大樹


◎竹俣修 選

薔薇香る府中にG-Iファンファーレ

初ゆかた黙つてつかふ姉の紅

若葉風ボール拾ひの部活動

釣舟の櫂こぐ音も夏はじめ

相撲中継漏れ来る路地や鉄線花


◎森田遊馬 選

万葉の歌碑は恋うた山つつじ

初ゆかた黙つてつかふ姉の紅

光より先回りして春の闇

やはらかく山湖を濡らす余花の雨

鯉の目を隠して雨の吹流し


◎堤かがり 選

万葉の歌碑は恋うた山つつじ

初夏の眼鏡の隅の青みがち

天体の切手で投句夏に入る

青春の影と光とソーダ水

若葉風光る翡翠のペンダント


◎松本由美子 選

水遣りの光る葉先に天道虫

限りなく水透明に新樹光

坂道の多き故郷桐の花

芍薬の雨呼ぶ風となりにけり

再会を待ち焦がれたる薔薇の席


◎清水檀 選

大海へ旅始まりぬ岩清水

若葉寒心の旅をした少女

令和から始まる未来花は葉に

やはらかく山湖を濡らす余花の雨

ラケットは風に向ひて五月来る


◎髙橋千登世選

本丸の縁の彩り八重桜

万葉の歌碑は恋うた山つつじ

さりげなく膳を彩る豆の飯

この先の葉桜の径二の丸へ

芍薬の雨呼ぶ風となりにけり


◎星野裕子 選

夏服や聖母のやうな青を着て

踏めぬものに吾が影と花薔薇と

短夜の男のシャツを着て眠る

限りなく水透明に新樹光

芍薬の雨呼ぶ風となりにけり


◎安部じゅん選

青薄風の尋問繰り返す

初ゆかた黙つてつかふ姉の紅

短夜の男のシャツを着て眠る

前掛けの魔法のポッケ母の日来

相撲中継漏れ来る路地や鉄線花


◎岩佐晴子 選

散り急ぐ花とラケット交差する

光あり影あり薫る風のあり

天体の切手で投句夏に入る

格別な憩ひとなりし新茶かな

青春の影と光とソーダ水


◎ななさと紅緒 選

青薄風の尋問繰り返す

万葉の歌碑は恋うた山つつじ

平成の最後の仕事籾をまく

短夜の男のシャツを着て眠る

草笛かもしれぬ牧の風にのり


◎中野千秋 選

若葉風ボール拾ひの部活動

天体の切手で投句夏に入る

真打ちの脱ぐためだけの夏羽織

故郷やラヂオの奥の祭り笛

春が逝くなり仲見世の造り花


◎阿部ひで希

散り急ぐ花とラケット交差する

能舞台詩吟演者に花吹雪

やはらかく山湖を濡らす余花の雨

七色の鳥語に明くる立夏かな

背の縮み裾上げせねば更衣


◎稲葉京閑 選

光あり影あり薫る風のあり

初ゆかた黙つてつかふ姉の紅

七色の鳥語に明くる立夏かな

清濁を呑んで大人に半夏生

フルーツのやうな肩先夏の蝶


◎鈴木由里子 選

夏服や聖母のやうな青を着て

天体の切手で投句夏に入る

フルーツのやうな肩先夏の蝶

ラケットは風に向ひて五月来る

芍薬の雨呼ぶ風となりにけり


◎鬼形瑞枝 選

緑雨かな傘打つ音はメゾフォルテ

夏の夜エンドロールが掻き毟る

清濁を呑んで大人に半夏生

笹伝ふ春告鳥の塒かな

相撲中継漏れ来る路地や鉄線花


◎里村閑 選

やはらかく山湖を濡らす余花の雨

薫風の百筋走る山上湖

フルーツのやうな肩先夏の蝶

草笛かもしれぬ牧の風にのり

相撲中継漏れ来る路地や鉄線花


◎杉山加織 選

青薄風の尋問繰り返す

万葉の歌碑は恋うた山つつじ

短夜の男のシャツを着て眠る

青春の影と光とソーダ水

真打ちの脱ぐためだけの夏羽織