人間の身体はヨットに似ている
こんなタイトルを書くと、自分がヨット好きだから書いていると思われるかもわかりません。
それも確かにあるのですが、人は、どこに向かっているのか?
死に向かっています。
つまり、死が定められたゴールです。だから不可逆的です。一度組織が破壊されてしまうと完全には元に戻りません。
ヨットは風の力だけで走りますが、風上にのぼることもできますので、一応水の上ならどこにでもいけます。ただ、理論上45度の角度でのぼることになるので、タックと言って左右にジグザグに走りながらあがっていきます。
理論上と書いたのは、あくまでも理想ということです。海流があれば、それに流されることもありますから、目的地に到達する為には、それらも計算に入れて走らせる必要があります。また風は一定方向から吹く訳でもありませんし、同じ風速で吹く訳でもありません。風に合わせて走る必要があります。
また、船の形状によっても天と地ほどの差があります。風や波、海流、船型等々の条件で、これ以上物理的にスピードを出せないという限界点があります。それが、その船の持つ最高のスピードと言う訳です。身体が不可逆的なように、ヨットも理想的な走りからロスしてしまった分は、どれだけ努力しても、取り戻すことはできません。つまり引き算が原則です。
若くてもアルコールの飲み過ぎでアル中になり、死んでしまったという場合などは、あきらかにこの引き算で、取り返しがつかなくなった状態とよく似ています。
無理をして船を損傷させればゴールはありません。ゲームオーバーです。
ヨットレースは一応目的はハッキリしています。ルールを守って他艇より早くゴールにたどり着くことです。しかし、人の生き方は様々です。決してカッ飛びで最速であれば良いとは限りません。
それぞれの船の性質は変えることはできません。それと同様に与えられた体質は変えることはできません。だからこそ、自分の船の性質を知り、何が弱くて、何が強いのか?
どういう状況なら少々無理をして力を発揮しても大丈夫なのかということを熟知している必要があると思います。
ヨットも速く走る為だけに作られる船と、余裕を持ってのんびり走る船だけど船内は豪華なものもあります。一般的には前者をレース艇、後者をクルージング艇と言います。
クルージング艇にはクルージング艇の楽しみと走らせ方があります。その船の楽しみ方を知っているオーナーかどうかで、その船のイキイキ度は、全く違ってきます。
あくまでもヨットは道具なので、仲間とワイワイ言いながら走るのもヨットの醍醐味です。仲間と一緒に1秒を争うレースに出るのも楽しみと言えます。1人でノンビリと天気の良い時に走らせるのも、なかなか良いものです。気に入らない船であっても、そうそう簡単には買い変えられませんからね。身体も買い変えられませんからね。
だからこそ、どう使うかが問題なのです。
その船の楽しみ方を知っているかどうか?
そして、それを走らせる為の良い仲間と出会えるかどうかで勝負は決まるような気がします。全く同じだなぁ~と思います。