ペット case03 作・草場あい子
2019.05.29 13:00
大学生になった。
僕はペットショップでアルバイトをしている。
今年の春から。
だからまだ2ヶ月弱。
僕はたぶん動物アレルギーだ。
アルバイトを始めてから、
よくくしゃみが出る。
目がかゆい、あと、涙が出る。
しかも、バイト先に来る度にどんどん悪化していく。
僕は犬が好きだ。猫も。うさぎも。ハムスターも。
フサフサして、かわいい。
だから僕は小さい頃からペットを飼うことが夢だった。
でもうちでは飼わせてもらえなかった。
ほしいと言うたび母がダメだと言った。
だから今まで知らなかった。
自分が動物アレルギーということを。
アルバイトを始めて2ヶ月弱。
僕はとても幸せだった。
ずっと飼いたかった動物たちに囲まれて。
でも、僕は知ってしまった。
アレルギーの存在を。
でも僕は辞めない。
辞められない。
もう動物を一生飼えないと知ったから。
僕はその飼えないという悲しみを、
ここで消化しなければならないから。
僕は限界が来るまでここで働く。
でも、たぶん、いや、確実に、
僕は明日このアルバイトを辞める。
身の危険を感じて。
2019年5月29日
草場あい子