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青川素丸 表参道の父

置閏法とは?

2019.06.01 11:38

 実際の天体の運行に基づいて暦を正確に作ろうとしても、天体の運行周期には必ず端数が生じるので、完璧なデジタルの暦を作ることは不可能です。年月を経るほど、端数は大きく誤差となってしまい、遂に暦は使い物にならなくなってしまいます。こうした状況を避けるため、天体同士の周期のズレを補正する閏(うるう)の月日時の概念が必要になるのです。

 この閏の取り方(=置閏法(ちじゅんほう))が高度な暦を作る上で重要です。つまり、計画的に暦を修正する方法です。グレゴリオ暦(太陽暦)には4年に1回閏日があり(但し、400年に3回は省略)、太陰太陽暦では19年に7回の閏月が計画的に用意されていました。 

 さて、太陽が地球の周りを一周する時間(=一太陽年、一回帰年)を一年とする一方で、一月の長さは朔望月(月の盈虚の一サイクル)によって定められます。つまり、朔望月を12倍した太陰年と太陽年の間のズレをどう正すかが問題となります。実は紀元前7世紀頃になると、この暦と季節のズレを正すため「二十四節気」という考えが中国の暦の中に導入されます。これは中国オリジナルの置閏法ですが、太陽の運行と季節推移を把握しておきながら、それに「月の満ち欠け」を結びつけた高度な考え方です。ただし、二十四節気は太陽の運行に基づくため太陽暦とのズレは少ないのですが、太陰暦とは大きなズレが生じます。中国では春秋戦国時代に「十九年七閏法」(=章法)が編み出され、閏月を19年に7ヶ月分設けて、ズレを補正できることを見出しました。次に、閏月の置き方ですが二十四節気を用いて閏月を定める方法も考案されています。

【参考】 365.2422日 ÷ 12 = 約30.43685日

         二十四節気の中気~中気  約30.43685日

         一朔望月の一ヶ月     約29.53059日

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                誤差    約0.90095日

    約0.90095日(/月) × 33ヶ月 = 約29.73135日

 平気法に従えば、二十四節気の一節気は平均で約30.43685日です。しかし、これだと一朔望月より約0.9日長いことがわかります(算式参照)。この誤差約0.9日は、33ヶ月(朔望月)経過すると29.73135日という誤差となり一ヶ月の日数ととても近似します。誤差約0.9日の積み重ねからできた約一ヶ月を「閏月」として置くならば、公転から生じた季節と暦とのズレを解消できるのです。(※この閏月は二十四節気の一節気間にすっぽり納まりますが、こうなると月名をつけるために利用してきた「中気」を月内に含まない格好になります。月名のない一ヶ月間であることから閏月は「無中気月(むちゅうきげつ)」と呼ばれました。この置閏法は三統暦(さんとうれき)で採用されていました)


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