現行太陽暦と置閏法

　日本では現在グレゴリオ暦が採用されています。グレゴリオ暦はローマ教皇グレゴリウス１３世が学者らを集め、暦作りの委員会を作ったことに端を発するとされます（１５８２年に制定）。実は一年を３６５日とした場合、一太陽年＝３６５.２４２２日との間には、０.２４２２日の端数が生じてしまいます。そこで、グレゴリオ暦には閏年に１日を加算する次のような置閏法が設けられました。

　　　１）西暦が４で割り切れる年＝閏年とする。

　　　２）但し、その内、西暦が１００で割り切れる年＝平年とする。

　　　３）但し、もし西暦が４００でも割り切れる年＝閏年とする。

　こうして４００年間に９７回の閏年が設けられることになります。

　そうなると９７日÷４００年＝０.２４２５日となり、端数との差が約０.０００３日と極小になることがわかります。しかも、この誤差の修正は約３３３０年に１日となって、非常に精度が高くなる訳です。但し、日本の閏は正確には、西暦ではなく神武天皇即位紀元（皇紀(こうき)）に従って算出されます。これは、法令（明治３１年勅令第９０号（閏年ニ関スル件））に定められ、現在に至るものです。

【資料】

　明治31年勅令第90号（閏年ニ関スル件）（原文）（明治３１年５月１１日勅令第九十号）

　「神武天皇即位紀元年数ノ四ヲ以テ整除シ得ヘキ年ヲ閏年トス

　　但シ紀元年数ヨリ六百六十ヲ減シテ百ヲ以テ整除シ得ヘキモノノ中更ニ四ヲ以テ

　　商ヲ整除シ得サル年ハ平年トス」

　グレゴリオ暦を天文学的観点から見ると、不思議にも「年始」が近日点を地球が通過する１日、あるいは２日前に当たっていることがわかります。もっともこれは偶然にそのようになったとも言われています。これを惜しいと見るか？凄いと見るか？は個人の勝手ですが、私たちが生活する上でこの偶然は大きな意味をもつものでもありません。

　本来、暦は人類が生活の営みの中から作るものなので、どこを「年始」に定めようとも、そこに合理性と利便性があれば良いのです。確かなのは、グレゴリオ暦が現時点で最も１年の長さを正確に表現しうる暦であることです。ただし、仮に課題があるとすれば①「年始」の位置は生活者にとって意味がなく、②各月の日数が平均で無く、③暦日と週日（七曜）との整合性が無い、などが挙げられます。今後、さらに改善の余地があるのかもしれません。

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