小倉あんライブラリー:システマティックレビューを行うと、患者さんに提供するリハビリも改善すると思います
おはようございます。University College London (UCL)の理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。
システマティックレビューに関して書きます。
私は、現在修士論文としてシステマティックレビューを行なっています。
今回、取り組みを始めてみて、システマティックレビューを行うことは、患者さんに提供するリハビリを改善することにも繋がりそうだなと感じました。
UCLでの修士論文でシステマティックレビューに取り組むことを決めた理由は割と単純で、新しいスキルを身につけたかったからです。
北里大学の大学院で人を対象にデータを取る機会がありました。
もちろん、「人を対象にした研究に必要なスキルはマスターした。」みたいなことは口が裂けても言えないですが、流れは経験出来ました。
もう一度患者さん、もしくは健常者のデータを取って、というよりは別のことをしてみたいと思い、選びました。
まだ全然初期の工程しか経験していないものの、システマティックレビューの工程には、EBPTに必要なスキルがほとんど全て詰まっていると言っていいんじゃないかと思いました。
ざっくりとシステマティックレビューの工程を書くと
① 調べたい臨床上の疑問を明らかにする(少し専門的に言うと、クリニカルクエスチョンを明確にする)
② 複数のデータベースを、適切な検索語を用いて調べる
③ データベースを使ってピックアップした論文の質を評価する
④ 論文の質の高さによって結果を重み付けする
⑤ 得られた結果を基に執筆する
これに加えて、背景知識を得るために教科書や論文を読むプロセスが加わると思います。
一方、EBMの5ステップは
① 疑問を調べられる形にする(クリニカルクエスチョンを明確にする)
② 根拠となる論文などを検索する
③ 検索した根拠の質を吟味する
④ 目の前の患者さんにその治療が適切か考える
⑤ ①~④に関して振り返りを行う
です。
4の患者さんへの適応の有無を考えることと、5の振り返り
というのはシステマティックレビューの工程には含まれていませんが、システマティックレビューの1〜4とEBMの1〜3はほぼ一緒です。
システマティックレビューは性質上、より網羅的に検索が行われて、EBMの方は日々の臨床で生じた疑問を解消するための行動なので、必要に応じて効率を重視したり、網羅性を重視したりを使い分けることになると思います。
『患者さんに適応できるかの判断』、『実施後の振り返り』に関して別途トレーニングが必要かも知れませんが、EBMのステップの中で最も時間がかかったり、専門的なトレーニングに必要とする部分(①~③)に関してはシステマティックレビューを行うことで身に付きそうです。
この様な視点でシステマティックレビューを読んでみたり、可能であれば行ってみると、日々の臨床に繋がる発見があるかもしれません。
今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございます。
理学療法士 倉形裕史
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