"a thousand winds"「千の風になって」考 ④
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/20070120/1169277319
より
●"a thousand winds"その優しい原詩の持つ気品を大切にしたい
"a thousand winds"ですが、世界中でいろいろなバージョンが広まっているようですが、私としてはやはり、1932年にメアリーが書いたオリジナルバージョンが一番しっくりきます。
かろやかに韻を踏みながら、"Do not stand"から"do not die"までの現在形を中心にした素晴らしい構成も、当たり前ですがすべてこのオリジナルバージョンで見て取れます。
・・・
実は、英語の"thousand"の持つ響きとその意味合いを忠実に日本語訳することは本当はとても難しいことだと私は思っています。
英語の数字の単位は4桁づつ付けられている東洋(万、億、兆、京・・・)と違い、3桁づつ単位が付けられている(thousand、million、billion・・・)わけですが、"thousand"だけは特別な品格と意味を持っています。
million、billionなどは、ラテン語系なので複数形(millions、billions)を持ちますが、thousandだけ(正確にはhundredもですが)は古代ゲルマン語系なので複数形を持たないという文法的な特別な存在であるだけではありません。
"thousand"だけが持つ特別な品格と意味とは、日本語の「万」の使い方と近いもののようですね。
興味のある人は以下の電子語源辞典のページを参照あれ(英語なので注意)。
ONLINE ETYMOROGY DICTIONARY
http://www.etymonline.com/index.php?search=thousand&searchmode=none
"a thousand winds"ですが、この場合のその意味するところは、日本語の「万」の使い方、「万人(ばんにん)」とか「万策(ばんさく)」 「万国(ばんこく)」と同じで、「すべての」と言う意味をある気品を持って表現しているのですよね。
"a thousand winds"は日本語にすれば「幾千(いくせん)の風」が近いのかも知れませんが、それとも少し違うのです。
文法的な正確な言い回しは私はできませんが"a thousand"の単冠詞"a"がなんともおしゃれなんですよね。
その意味では原文の持つ品格を保つため、「千の風になって」と単に「千」と訳した芥川賞作家の新井満さんは素晴らしいと思います。
"a thousand winds"
「千の風になって」
私のお墓の前で 泣かないでください
そこに私はいません 眠ってなんかいません
千の風に 千の風になって
あの大きな空を 吹きわたっています
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本当に素晴らしい詩ですね。
長文失礼しました。
<追記>2007・01・20 22:15
2007年1月19日〜2007年2月28日の期間限定ですが、ヤフー動画にて、秋川雅史さんの「千の風になって」が、フルコーラスでビデオクリップで無料で楽しめますよ。
まだ、曲を聴いてない人は是非お楽しみください。(CM二本付きですが無料なので我慢しれ(苦笑))
■昨年の紅白歌合戦で大反響! 秋川雅史「千の風になって」ビデオクリップをフル配信。
http://streaming.yahoo.co.jp/p/t/00153/v00898/
本当に素晴らしい歌声と曲ですね。