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きもの伝道師 貴楽 Kiraku/栗原貴子

「きものは怖いわよ」とママ、グランマからいわれた貴女へ

2019.06.03 02:12

こんにちは。栗原貴子です。


これまで、ひっそりときものデビューのお手伝いをさせていただいてきた中で、今でも残念に思う出来事があります。


数年前、30代の女性が「将来的にはきものを着られるようになりたいけれど、浴衣も持っていないので」とのことで、浴衣を購入するお手伝いをしました。

反物からあつらえるバージョンと。

お仕立て上がりを買うバージョンがありますよ、ということで。

その両方のお店に一緒に行き、「最初の一枚はお仕立て上がりにしましょう」とご購入。

「実家に母や祖母のきものがあるので、今度、帰省したときに練習用に見繕ってもらいますね」

と、彼女はいいました。

私は「楽しみね~」といいながら「浴衣の着付けはまた、違う日にお教えするので予定をお知らせくださいね」といいました。


数日後、彼女から連絡がありました。

「母と祖母が『きものなんて、やめなさい。呉服屋さんは怖いのよ』というので……」


悲しいな、と思うと同時に「やっぱりな」という思いを抱きました。


彼女の年齢から推測される、お母さま、おばあさまの世代の方は「呉服屋さんへのトラウマ」がある方が少なくないからです。


何がどう怖いか、というと。


「ちょっとご覧になっていきませんか?」と該当や店頭で見込み客をキャッチして、激しくセールスして「買わないと帰れないムード」を演出し、強引に販売するという方法をしている呉服屋さんが少なくなかったのです。


20~30年ぐらい前って、呉服のみならず、エステとか化粧品とか、貴金属とか高額商品をローンで販売する、という商法が少なくなかったんですね。


件の彼女の、お母さまやおばあさまは、そういうキャッチセールスで購入したきものや帯を持っていらっしゃるんだろうな、と推察。


だから「呉服屋さんは怖い」と娘、孫娘に警鐘を鳴らした。


この手のエピソードを聞くと、「天に唾を吐く」という言葉が、最近では「ブーメラン」っていうみたいですけど(唾よりそっちのほうが上品ね)、脳裏をよぎります。


せっかく「きものを着たい」と思ったのに。数十年前の悪しきビジネスモデルのせいで、将来の顧客を失ったわけで。。。

私がいくら「怖くない呉服屋さんを選べば大丈夫よ」と言ったところで、母親や祖母のいうこと、聞いちゃいます。


でもね。


その「箪笥の肥やし」と化している、きものや帯はけっこういいモノだったりもするんです。


もったいなくない?


娘や孫娘が上手に着られるようになったら、お母さま、おばあさまのトラウマも癒されるのではないかしら? と思うのですね。


今の時代、「怖くない呉服屋さん」もたくさんあるし。

リサイクルショップも充実しているし。

すでに色々なアイテムをお持ちであれば、新調が必要なのは下着や足袋といった小物類だけなので、それこそネットで買えちゃう。

「怖い呉服屋さん経験」を持ちつつ、それでも「きものが好き」と、呉服まわりのお仕事をしている方も、たくさんいるんですね。ダークなイメージを払拭しようと、奮闘していらっしゃる。



「現役のきもの愛好家」ではない母親、祖母の情報は古い、ということ。

怖い思いをせずに、きものを楽しむ方法は今の時代、いくらでもある、ということ。


この2点を心に留めていただけると、とっても嬉しいです。


彼女のように「実家にきものがたくさんあるので、着たい!」と思っている方。

着付けを覚えるところから、パーソナルレッスンいたします!

詳細・お申込みは下記をご覧くださいね。

今日も読んでくださって、ありがとうございました。