「ひきこもりは非常に犯罪率が低い集団としか言いようがない」精神科医・斎藤環氏が過剰な報道に苦言(19/06/03)
先月、神奈川県川崎市で小学生ら20人が刃物で襲われ2人が死亡した事件、そして1日に東京都練馬区で元農林水産事務次官が長男を視察した事件。いずれの事件でも、メディアの報じ方に疑問の声が上がっている。
報道番組では、事故現場でリポーターがストップウォッチを用いて"10数秒"という容疑者の犯行スピードの速さを表現。あるいはコメンテーターやキャスターが「1人で死んでくれ」という趣旨の発言も飛び出した。また、容疑者の家宅捜索を伝える報道では「部屋からテレビやゲーム機」という見出しで伝えたことが非難を浴びた。
3日放送のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した精神科医の斎藤環氏は「まず最も欠けているのが、海外の乱射事件などでなされていることでもある、被害者の追悼と遺族への寄り添いだ。事件の背景の掘り下げも大事だが、初期段階としては被害者のサポート、心の問題についてのケアがなされて然るべきだと思う。そうした視点があれば、ストップウォッチのような、トラウマをえぐる報道はしないはずだ。検証するにしても、もう少しやりようがあるという気がする。被害者視点が欠けており、単純に事件を面白おかしく消費しているとしか言いようがない。そこは残念ところだ」と指摘。
「"たくさんの人を犠牲にするくらいなら、1人で死ねば良かったのでは"という主張は、一般人のネット上の意見ならいいとしても、少なくともメディアに関わる人にして欲しくない発言だった。テレビ・ゲームと関連付けるのも問題外で、要するに"現実と虚構の区別が付いていません"みたいなことを言いたかったと思うが、連続幼女殺人事件の時に部屋にカメラが入り込んでエロ雑誌やビデオが原因だ、とやった報道を変になぞっている感じがした。失笑ものと言っていいくらいだ」。