54.「阿吽(あうん)の呼吸(こきゅう)」とは

「阿吽の呼吸」は「二人以上の人が何かをする際、相互の微妙な気持ちや調子がぴたりと合うこと」を言いますが、この「阿吽の呼吸」ができる人が年々少なくなってきています。昔は、知人同士で夕食を決める際、誰かが「中華料理」と言えば、ほとんどの人が中華でもイタリアンでも大差がなくメニューは即決でした。

近年、日本人の生活レベルが向上し、ニーズが満足されてくると、「欲しいモノが特にない」と言う人が増えてきました。しかし、欲しいものについては一層のこだわりを持つようになりました。従って、食べることにこだわりを持つ人は、イタリアンでなければ参加しないと言いだし、全員のまとまりがつかなくなりました。これはなにも食事メニューだけの話ではなく、ことごとくに「こだわりの欲求」が多様化してまとめることが困難になってきました。この傾向はますます進むことが予想されるので「阿吽の呼吸」は死語になるかもしれません。このような変化に適応するためには、こちらの意思を相手に伝える際、内容を明確にシンプルに簡潔に表現しなくてはなりません。まさしく“KISS (Keep It Simple and Short)”が要求されます。「言わなくても分かってくれるだろう」などと思うのは過去の話しです。きちんと正面切って言葉に発しなくてはなりません。コミュニケーションの方法に大きな変化が生じています。