谷川岳一の倉沢南稜
【日程】2017/05/21
【メンバー】玉木、鈴木(藍)、小泉
【レポート】
5/21に谷川岳一の倉沢南稜に行ってきました。昨年秋の谷川集中にて玉木さんにご同行いただき初アルパインクライミングに挑戦したものの、当日未明まで降り続いた雨で濡れた岩場に阻まれ、テールリッジにすら辿り着けず敗退。今回は鈴木さんを加えて雪渓の残る時期を狙ってのリベンジ。
私は午前3:30に湯檜曽駅にて二人に合流し、4:00ベースプラザ出発。5:10より一の倉出合いにてハーネス・軽アイゼン装着。玉木さん曰く、例年より相当残雪量が多いとのこと。一抹の不安を感じながら雪渓を歩き始めるが、5:40には早くもテールリッジに到着。去年は濡れた岩場に泣きそうになりながら登っていたのに、雪渓があるとこんなにスムーズに行けるとは・・・。テールリッジからはノーロープで岩場を登る。傾斜が寝ているとはいえ滑落は許されない、三点確保で慎重に行く。
6:45に南稜テラス到着、なんと先行者なしの待ち時間ゼロ!後ろを振り返ると続々と後続が。アルパインは行動開始の早さ如何で一日の明暗が別れることを実感。
7:00より登攀開始。1ピッチ目は玉木さんにお願い。終了点手前のチムニーが若干難しいとのこと。・・・確かに少し難しい、リードでやるのは少し勇気がいる感じ。2ピッチ目、なんとなく調子が出ずに玉木さんにリードをお願いするも、「今日、何しに来たの?」との厳しいお言葉、やむなく小泉リード。直登し一つ目のハーケンはすぐに発見できたが、次がいつまでたっても見つからない。「今落ちたら確実にグラウンドフォールだな・・・」と思いながら5、6メートル(?)ランナウト、ようやく2つめのハーケンにクリップしホッと一安心。フォローの玉木さん曰く、「今のは右上だよね、ハーケンいっぱいあったよ」と、ルートファインディングが相変わらず課題だと実感。3ピッチ目は緩やかな草付きを確保しながら進む。4ピッチ目は鈴木さんリード、すぐに姿が見えなくなるが順調にロープを伸ばし、余裕すら感じさせる。馬の背リッジ手前より5ピッチ目、ここでも私がリードを渋っていると玉木さん、「馬の背は今日のハイライト、傾斜も寝ているし快適だからリードしたほうが良い」と背中を押され、小泉がリード。確かに岩も固く安定してガバホールドが連続、高度感もあって気持ちいい!リードで登って本当に良かった。6ピッチ目は最終ピッチながら本日の核心、終了点直前の垂直のフェイスが難しいらしい。ここは鈴木さんがリード、登り出しはスムーズにロープを伸ばすが垂直のフェイスに差し掛かり動きが止まる。慎重にホールドやスタンスを探り、遂に核心を突破!隣で玉木さんも喜んでいる。私もフォローで続く。核心部は安定したスタンスは多いものの、垂直であることに加えガバホールドも少ない。フォローだから思い切ったムーブができるが、リードだったらと思うと・・・。リードで登った鈴木さんはさすがだ。9:45には終了点到着、渋滞待ちも後続による焦りもなく、季節外れの猛暑を除けば快適なクライミングだった。 ロープを収納しノーロープで国境稜線を目指す。傾斜は寝ているが岩が脆く、浮き石も多い。所々の草付きは滑りやすく、むしろロープで確保されていた今までよりも緊張感が高まる。途中一ヶ所で再度ロープを出し難所を通過。その後は延々と藪こぎが続く、高度感はないが、緊張感が途切れたのと猛暑でその場に倒れ込みそうになる。
12:25にようやく国境稜線に到着、ハーネスを外しながら達成感を噛み締める。猛烈な暑さのなか雪渓を食べながら下山開始。13:50に山頂にて記念撮影。14:20に肩の小屋、天神平ロープウェーを経由して15:45ベースプラザへ下山。
「谷川岳一の倉沢をリードで登れるようなクライマーになりたい」と思い黒稜山岳会の門を叩いたのがちょうど一年前。何年もかかるだろうと思っていた夢がたった1年で叶えられたのは、黒稜の皆様のご指導のおかげに他なりません。玉木さん、鈴木さん、お二方のおかげで最高にファンタスティックで思い出深いクライミングになりました。本当にありがとうございました。
記録:小泉