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許認可・法務  al&la  行政書士 井原法務事務所

保証期間と耐久性

2019.06.29 08:00

1⃣多くのものには、「保証期間」があります。

大概は、1年・5年・10年位なものです。

実際、家電製品の保証期間を見れば分かります。販売店での5年保証は一般的ですが、10年保証などと言うものはほとんどありません。

5年以上+3年などと言うものがありますが、それが10年と言うのはあってもあまりにも少なすぎます。

つまり、それ以上は素材の劣化などを含めて、もたないと言う事をも意味します。

うまくいけば、20年、30年持つと言うものです。ですから、初めから、保証期間と言うものが定められています。

1年と言う場合は、本当にそのもの自体の機能が少ないか、本来が耐久性のない場合が主です。

また、逆に3年5年持つものでも、保証期間をあえて抑えてあるのもあります。

パソコンも4,5年も過ぎると、不具合が出てきます。それを修理に出すだけで、すでに3,000円位(発送費?)はかかり、修理見積もりが出てくる段階となると、5万、6万円はザラとなります。

そうであれば、もう修理よりは、買い替えたほうが良くなります。が、それほどに持たないと言う事は、5,6年をメドに多くの家電は買い替えの算段をしなければなりません。

家電の多くを一度に買いそろえることはないでしょうが、考えてみれば、大変金食い虫ばかりです。維持費に金が掛かるだけでなく、5、6年ごとに買い替えとは・・・


今時の高価な品物に対抗するために作られたものは、定価を安く押さえるために本来使わねばならない素材そのものを代替品で補う・人件費の安い所での生産などで、コストを押さえます。

ゆえに、本来ならば、10年は持つであろう物でも、5年までしか持たないとか、又、品を変える・内容を変えることで、次の製品を交わせる方策に変えます。

すると、新作が出るたびに、以前のものはある程度の年月を過ぎると、その物の部品が製造を中止したり、在庫切れになります。

それによって、製品そのものが不具合いになっても直すことすらできなくなるのです。

それだからばかりではありませんが、色々な技術の進歩や新しいデザインなどが出て来て、前の物は、年がたつほど、使えなくなります。

しかもその年月が、多くの物は10年持つなどと言うものはありません。

勿論、どのようなものでも、劣化がありますのでいつまでも同じ状態で持つことはないのですが。

昨今の技術進歩には目を見張りますが、それほどに誰もがすぐに必要とする物でもあるとは限りませんが。

「畳と女房は新しい方がいい」とは、じゃれた言葉として留め置くのが正しくありませんか。


要は、古いものを大事にすると言うような発想自体も、経済循環・発展の中には、余程の文化的価値・経済的価値・需要がない限り修復・改善・維持は、コストが掛かることことよりそれを処分する方が安く済む方策に変えざるを得なくなります。

家電製品・住宅・車など、特に生活必需品であるにもかかわらずと言うより、生活必需品であるからこそ故に、その消費サイクルを早める事で、売り上げの確保に努めるばかりの様にも思えます。

コンビニなどで売られる弁当も、消費期限を考えると、消費者に食中毒などが出ることによる損害額よりも廃棄する方が、リスクを避けられることで、廃棄されます。それがよく問題視される時代です。


2⃣物と言うのは、本来瑕疵担保責任と言うものがあります。(民570条)

保証期間に関わらず、それが発見された時に責任が発生するのが法理論の建前なので、不具合が発見された時、保証期間後であっても、修理などが無償でなされるというのです。それを発見した時から1年以内に請求しない限り無効となる。

しかし、契約書内に瑕疵担保責任に応じる項目がない限り、(口約束でも契約は成立すると言っても、)「両者の合意がない」と言う事になり、瑕疵担保責任にも応じないと言う事になります。


故に、現実は、どれもが、保証期間を過ぎることで、その補修なり修繕はずべて有料になってしまいます。

しかも、それが重大なる過失があっても、新品に変えると言う事は、余程の低額品や、大量に生産され交換に対応できるものでもない限りなされません。

その例として、車がそうです。

いいかえれば、どのようなものでも、損害額が大きければ大きいほど、100%元に戻ると言う事はないのです。

いわゆる、ある程度で我慢せざるを得ないと言うのがあらゆる場面での実情です。

物と言うのは、年月が経てば「経年劣化」と言うものが出てきます。

つまり、年が経てば、それなりの不具合が出てくるのです。人と同じく老化症状が出てくるので、ある程度でも、年月が経っていない限り、素人には、それが経年劣化なのか、本来の不具合なのか分かりません。


ちなみに、PL法上の責任については、(6条しかない)・・・

そもそもこれが認められるのは、「製造物の欠陥により人の生命、身体または財産に係わる被害が生じた場合」(同第一条)であります。そして、責任追及できる期間は・・・

(期間の制限)

第5条「第三条に規定する損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害および賠償義務を知った時から三年間行なわない時は、時効によって消滅する。その製造責任者が引き渡した時から十年を経過した時も、同様とする」

とあります。しかし、販売業者は製造物責任にから外れています(同3条2項)

<このPL法は出た当時、『企業よりである』等の問題があるとの批判を受けました。>

また、一般消費者を対象とする生活家電などを対象とする「消費生活用製品安全法」も人の生命身体に対する危害を対象としていますので、ここで言う家電の機能不具合は対象ではありません。


3⃣とは言え、少しでもこれらに対応するには・・・

・買う時に、出来るだけシンプルである事及び安すぎない・高ずぎない事

・すべての機能を早めに試してみる事。その時点で不具合があったら、早く修理依頼に出すこと。
・保証期間を把握しておく事。
・掃除をこまめにすること。

・取扱説明書をよく読み、説明書に沿った使い方以外はしない事。
・購入家電での記録表を作る➡購入記録・修繕記録・商品評価や買い替え時の予想時期の計画を立て、次回購入の際に役立てる。
・各製品の要不要の感覚を身に着ける➡安物買いの銭失いを出来るだけしないように、少し高いがいい必要なものだけを買う癖をつける。
・不要品は思い切って断捨離をしておく。
但し、保証期間内に見つからない不具合はよほどでない限り保証されない事を認識せざるを得ない。
・家電を購入する前に、置き場所など家屋内の寸法・電力容量・ガス、電気コンセントなどを調べておく。➡別工事が必要になる時があるので、買う時に、家庭状況も説明できるようにする。写真・図面などがあればよい。

・日本製かどうか、また、日本製でも信頼できないものもある事の認識。
過去において、事件事故など問題を起こした製品・メーカー名・販売店などもメモしておく。(これは全てに言えます)

・見栄を張らない。これが無駄遣いの要因としてあるのも確かです。


4⃣追補

例え、仕事にすぐ使わねばならない為買ったのに、すぐに調子が悪くなった製品を新品と交換してくれたとしても、それに携わった時間・仕事が出来なくなってしまったこと・交換返品のために持参した際の交通費・嫌な思いをした精神的被害などは残ります。

100%保証されることは、すべてのものにおいてないのです。

また、全ての事業において、一度でも問題を起こしたところは、いつかまた問題が起きやすいものです。「一度あることは二度ある」の認識も必要です。ここに、「企業の信頼性」のいかに大切かが課題となるのです。

わずかなトラブルを「おたがいさま」と捕らえるか捕らえないかは人次第ですし、トラブルは少なからずも生ずるものであります。いかにそれを少しでも抑えるかは、企業努力であることはあえて言うまでもありませんが。