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ZIPANG-3 TOKIO 2020 文化庁国立近現代建築資料館 「安藤忠雄初期建築原図展 ― 個の自立と対話」の開催

2019.06.08 14:35

はじめに 記事をお届けするに当たり、先の北海道における地震災害、関西地方ならびに中国四国・九州地方における大雨・地震災害で未だ行方不明、並びに亡くなられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。


光の教会


文化庁では,令和元年6月8日(土)から9月23日(月・祝)にかけて,国立近現代建築資料館における令和元年度春期展示として「安藤忠雄初期建築原図展 ― 個の自立と対話」の開催が始まりました。


1.開催主旨

本年は,世界的に著名な現代建築家の一人である安藤忠雄氏が「安藤忠雄建築研究所」を設立してから50年目に当たります。この節目に,安藤氏において初期となる1990年頃までの活動に焦点を当て,手描きの設計原図や模型を中心とした展覧会を開催します。


図面には,都市,自然,歴史風土,多様な文化との共生を希求し続ける安藤氏の空間づくりが凝縮されており,展示を通じて《住まう》ことを原点から問い直す狙いを込め,本展における主題を「個の自立と対話」と表しました。

住吉の長屋 断面詳細図 

「住吉の長屋」,「六甲の集合住宅Ⅰ」,「小篠邸」,「TIME'S」,「城戸崎邸」,「水の教会」,「光の教会」などの代表作における設計原図,スケッチ,写真,模型などを展示し,会期中には,安藤氏によるギャラリートークを予定しています。


 2.開催概要

名 称:安藤忠雄初期建築原図展 ― 個の自立と対話

主 催:文化庁

会期・時間:令和元年6月8日(土)~9月23日(月・祝) 10時~16時30分(会期中は無休)

会 場:文化庁国立近現代建築資料館(東京都文京区湯島4-6-15 湯島地方合同庁舎内)

協 力:公益財団法人東京都公園協会


3.出品概要

1969年の安藤忠雄建築研究所設立から1990年頃までの住宅や教会など25物件(下記参照)に関する設計原図,スケッチ,模型,写真など約190点。


4.関連イベント

会期中に安藤氏によるギャラリートークを開催します。日程については後日決定。
文化庁国立近現代建築資料館(TEL 03-3812-3401)にお問い合わせください。


■ 展示概要/本展の見どころ

(1)初期主要作品を網羅的に紹介

本展では,安藤氏において初期となる1990年頃までの活動に焦点を当て,次の25物件155点の設計原図に加え,模型,写真等を含め,計190点程度の建築資料を出品します。 


1 冨島邸 立面図,トップライト詳細図

2 双生観 ― 山口邸 断面図,平面図,断面図,配置図,断面図

3 双生観の茶室 ― 山口邸増築 アクソメ図,透視図

4 住吉の長屋 ― 東邸 平面詳細図,断面図,断面詳細図

5 領壁の家 ― 松本邸 平面詳細図,東立面図,展開図

6 帝塚山の家 ― 真鍋邸 平面図,平面詳細図,透視図,断面詳細図等

7 ガラスブロックの家 ― 石原邸 断面詳細図,断面詳細図,透視図等

8 松谷邸 平面詳細図,立面図,全体アイソメ図・断面図

9 上田邸 平面図,断面図,アクソメ図,透視図等

10 小篠邸 1階平面図,2階平面図,南・西立面図,断面詳細図,展開図等

11 大淀のアトリエ 立面図

12 大淀のアトリエ II 配置図,平面図,アクソメ図,立面図,断面図,屋根伏図等

13 大淀の茶室 平面図,断面図,平面・断面詳細図,アクソメ図,透視図,展開図等

14 九条の町屋 ― 井筒邸 1階平面図,2階平面図,断面図等

15 茂木邸 2階・3階平面図,立面図,断面図等

16 金子邸 断面図,アクソメ図,透視図

17 六甲の集合住宅 I 配置図,4階平面図,断面図,天井伏図,アイソメ図,詳細図等

18 TIME'S I 1階平面詳細図,立面図,断面詳細図,矩計図,屋根伏図等

19 TIME'S II 断面図

20 中山邸 1階平面詳細図,断面詳細図等

21 城戸崎邸 2階平面図,3階平面図,断面図,詳細図,アクソメ図,透視図等

22 六甲の教会 平面図,南立面図,断面図,部分詳細図,長椅子詳細図等

23 水の教会 1階平面図,R 階平面図,北・西立面図,断面図,アクソメ図等

24 光の教会 配置図,断面図,アクソメ図,透視図等

25 小倉邸 1階平面図,北立面図,断面図等



(2)図面や模型に凝縮された設計理念を紹介

自然や歴史風土・多様な文化との共生を図り,打放しコンクリートを素材とするミニマルな表現が安藤建築の特徴として知られていますが,そこに至るまでの設計プロセスは,緻密かつ論理的なもので,端正で豊かな表現によって描かれている設計図を通じて,その一端を紹介します。


(3)国内外への影響を設計原図から読み解く

多様な試行錯誤と挑戦を繰り返しながら,一般にわかりやすい作品と言葉を発信することで,国内外に大きな影響を与える一方,自己の作品に解説を付すことの少なかった初期においては,図面資料が設計者の言葉としてメッセージを発していた点に着目します。 


■ 安藤忠雄氏について

1941年大阪生まれ。独学で建築を学び,1969年安藤忠雄建築研究所を設立。代表作に「光の教会」「ピューリッツァー美術館」「地中美術館」など。1979年「住吉の長屋」で日本建築学会賞,1993年日本芸術院賞,1995年プリツカー賞,2003年文化功労者,2005年国際建築家連合(UIA) ゴールドメダル,2010年文化勲章,2013年フランス芸術文化勲章(コマンドゥール),2015年イタリアの星勲章グランデ・ウフィチャ―レ章など受賞多数。

1991年ニューヨーク近代美術館,1993年,2018年パリのポンピドー・センター,2017年国立新美術館にて個展開催。イェール,コロンビア,ハーバード大学の客員教授歴任。1997年から東京大学教授,現在,名誉教授。



【主な作品】

1983 六甲の集合住宅I,Ⅱ(1993),Ⅲ (1999)(兵庫 神戸)

1989 光の教会(大阪 茨木)

1992 ベネッセハウス ミュージアム,オーバル(1995)(香川 直島)

1994 大阪府立近つ飛鳥博物館(大阪 河南)

2000 淡路夢舞台(兵庫 淡路),FABRICA(ベネトン・アートスクール)(イタリア トレヴィソ)

2001 ピューリッツァー美術館(アメリカ セントルイス)

2002 兵庫県立美術館(兵庫 神戸),国際子ども図書館(東京 台東区)

2003 4×4の住宅(兵庫 神戸)

2004 地中美術館(香川 直島),ホンブロイッヒ/ランゲン美術館(ドイツ ノイス)

2006 表参道ヒルズ(東京 渋谷区)

2007 21_21 DESIGN SIGHT(東京 港区)

2008 東京大学情報学環・福武ホール(東京 文京区)

2009 プンタ・デラ・ドガーナ(イタリア ヴェニス),東急東横線渋谷駅(東京 渋谷区)

2011 Chateau la Coste(エクサン・プロヴァンス)

2014 クラーク美術館(アメリカ ウィリアムズタウン),上海保利大劇場(中国 上海)

2018 Wrightwood 659 (アメリカ シカゴ)


【 主な受賞 】

1979 「住吉の長屋」で日本建築学会賞

1985 フィンランド建築家協会から,国際的な建築賞アルヴァ・アールト賞(第5回)

1989 フランス建築アカデミー大賞(ゴールドメダル)

1993 日本芸術院賞

1995 プリツカー賞,フランス芸術文化勲章(シュバリエ)叙勲

1996 高松宮殿下記念世界文化賞

1997 イギリス王立英国建築家協会(RIBA)ロイヤルゴールドメダル,フランス芸術文化勲章(オフィシエ)叙勲

2002 アメリカ建築家協会(AIA)ゴールドメダル

2003 文化功労者

2005 国際建築家連合(UIA)ゴールドメダル,レジオン・ドヌール勲章(シュバリエ)叙勲

2010 文化勲章,ジョン・F・ケネディーセンター芸術金賞

2013 フランス芸術文化勲章(コマンドゥール)叙勲

2015 イタリアの星勲章 グランデ・ウフィチャーレ章 叙勲

2016 イサム・ノグチ賞



編集後記

私は、この記事に着手しながらふと考えた。安藤忠雄氏は建築家以前はボクサーだった筈だ。建築とボクサーの関係… ?? 皆さんも気になるのでは?

2017年に或るファッション雑誌のインタビューで安藤忠雄はこう語っていた。

ー あのリングでの、瞬間に判断して動かなくてはならないという感覚、頼れるのは自分自身のみという緊張感を、若い時に経験できたのはよかったと思っています ー

ー ボクシングも建築もそれが「闘い」であるという点では重なる部分はありますよね。ー

これで安藤氏が生んだあの世界的名建築の答えになったであろうか?・・・否!

哀しきかな…私にはさっぱりである。なおも他へ目を走らせると…

ー 日本中へ旅しました。まず印象に残ったのは、各地の伝統的な民家の風景でしたね。素朴な力強さに心動かされました ー

ー知識よりもまずは体験して、身体で”建築“を知るんだという感じでしたねー

安藤氏は奈良の東大寺大仏殿等日本の伝統的建築の世界と同時に、当時最新の近代建築を訪ね歩いたと語りました。そこで彼をして感動せしめたのは丹下 健三氏の作品、広島平和祈念資料館、香川県庁舎、国立代々木競技場、体育館など見学して「建築とは、こんなに凄いものか〜」と回想している。その中で、私なりにこれこそ氏の感性と哲学だと感じたポイントを以下にメモしてみた。

「丹下さんの建築は未来を考えると同時に、いつも歴史を踏まえています」…であった。
思うに安藤氏の設計ポリシーには土地固有の空気感が確りと伝わるのだ。

氏の作品には丹下氏とは表現は異なれど、特に宗教建築作品には人類が普遍的に希求する超次元の存在をインド哲学の五大要素 (空 風 火 水 土) から切り取り強調した表現がなされているのを感じますよね?

素人の気楽さ、生意気なことをつい口走ってしまいました。皆さんはどう思われますか?



鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」の明和町観光大使



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