桜

翼めく堂の庇や養花天　　高資

ようばけに波打つ時や桜咲く　　高資

尾を曳いて旭の昇る桜かな　　高資

昇る日の魄のゆらめく桜かな　　高資

空に満つ桜をのぼる日の尾かな　　高資

桜咲く空へと富士見櫓かな　　高資

花よりも空にやすらふ櫓かな　　高資

本丸へ魁けて咲くさくらかな　　高資

雲居より枝差し延べる桜かな　五島高資

日高見国のさ庭や花の雲　五島高資

花の奥なる宇都志国玉主神　五島高資

ひしめいて空にあふれる桜かな　五島高資

花びらの空にあふれてこぼれざる　五島高資

むらぎもの心いざなふ花の雲　五島高資

本丸へ寄せたる染井吉野かな　五島高資

滾つ瀬のそのまま枝垂れ桜かな　　高資

満を持す金剛桜や月朧　　高資ー 場所: 宇都宮城址公園 清明館

夕空に溢れ出したる桜かな　　高資ー 場所: 宇都宮城址公園

放たれて矢の彼方なる桜かな　　高資

　大宮公園弓道場ー 場所: 大宮公園

沈む日へ飛行機雲や桜咲く　　高資ー 場所: 宇都宮城址公園

花は葉に音は流れて川となる　　高資

オンカカカ花の主の菩薩かな　五島高資

花を守る地蔵菩薩や忉利天　五島高資

六道や花を守れる地蔵尊　五島高資

凰の繕うしだれ桜かな　　高資

天翔るしだれ桜の気色かな　　高資

み空よりしだれ桜のさくなだり　五島高資

滾つ瀬のそのまましだれ桜かな　五島高資

あふれ出すしだれ桜のちからかな　高資

　戸祭山祥雲寺ー 場所: 祥雲寺

夜桜や去来を通ふ水の音　五島高資

うつしよへ洩れる瀬音や花明り　五島高資

花に寝て天に近づく瀬音かな　五島高資

朝ぼらけ瀬瀬に散り込む山桜　　高資

花弁の届かぬ川の瀬音かな　　高資

花の闇へ玉子擲つ心地かな　　高資

いつくしや桜しべ降る大谷石　五島高資

切株の虚にゆかしき落花かな　五島高資

神南備に溯る花筏かな　　高資

二荒の御諸に泊つや花筏　　高資

寄り添ひて日を集めたる冬桜　　五島高資ー 場所: 妻沼聖天山（歓喜院聖天堂）

伐られたる枝に雲立つ桜かな　　高資

草薙剣や春の雲立ちぬ　　高資

洒落臭いこと思い出す桜かな　　高資ー 場所: 上野公園