陰陽エネルギー
拙者はこれまで数多くの陰陽の概念について述べてきましたが、ここでは一歩進めて六爻預測学で必要とされる陰陽エネルギーの概念について説明しておきましょう。これまでの「陰陽学」では、陰陽を「相反(あいはん)する2つの気」として扱ってきました。確かに「気」は気功(きこう)などによって練れてくると容易に実感できるものですが、初学者に「気」という存在はわかり難いものです。そこで、ここでは「気」=「生体エネルギー」として説明します。実はこの世に存在する万物すべては生体エネルギーを帯びています。宇宙に生きている物質(=生命体)は、エネルギーを宇宙の時空から還流させて帯びたり、また自ら作り出して生きている訳ですが、勿論、無機質な物質にもエネルギーは還流することが可能です。そして、この生体エネルギーの性質としてプラスとマイナスが必ずあるのです。それは、気の陰と陽に応じているものですが、二つは全く別の物ではなく、相対的な性質を指しているにすぎません。そして、生命体がこの陰陽どちらの(エネルギー)性質に傾いているかは、エネルギー総体として考えるべきものです。つまり、プラスのエネルギーに傾いているのか?マイナスのエネルギーに傾いているのか?そのプラスとマイナスの収支としてのバランスにより、生命体の気の性質が決まるのです。
ここで注意したいのは、プラスとマイナスはエネルギーの性質の上での尺度であって生命体にとってどちらが良いとか悪いとか、あるいは吉凶などとは全く関係ありません。良いか悪いかは、どちらのエネルギーに属する物を基準とするか?その基準となる物との相対的な関係(評価)によって決まる別の次元の問題です。
次に、プラスのエネルギーを帯びた生命体でも、時間と共にマイナス性質へと転じたり、あるいは、よりプラスに傾いたりと、たとえトータルでプラスのエネルギーを帯びていたとしても、プラスの範囲内で増減サイクルを持っています。このようにエネルギーが還流する宇宙の万物万象はプラスのエネルギーとマイナスのエネルギーの波動の支配下にあると考えられます。とりもなおさず、このプラスのエネルギーが陽の気と呼ばれるもので、マイナスのエネルギーが陰の気と呼ばれるのです。そしてエネルギーの力量には、増減のサイクルが存在しているので、その増減サイクルを分析することで、エネルギーが還流する時期とその量とが預測できるという理屈になります。それは、力量リズムであり、陰陽相互バランスの上に生じます。即ち六爻預測学(易学)において、陰陽の増減の方向性、現在の相対的位置などが明らかになれば、パワーシフトの時期、禍福の時期、吉凶の出現時期(=応期)が、わかるという訳です。したがって、このエネルギー量と周期性など「時間的特徴」をつかむことが預測学では重要になるのです。