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哀悼 田辺聖子先生

2019.06.10 06:05

 「人生の機微をすくい取った恋愛小説や、ユーモアにあふれたエッセーで人気を集めた文化勲章受章者の作家、田辺聖子(たなべ・せいこ)さんが、6日午後1時28分、総胆管結石による胆管炎のため、神戸市内の病院で死去した。91歳だった。通夜・密葬は親族で済ませた。喪主は、弟の田辺聰(あきら)さん。後日、東京と大阪でそれぞれお別れの会を開く予定。」



先生、もう四日も前に、旅立たれていたなんて。91歳、そりゃ早逝では無いけれど、いつかそう遠く無い時期に訃報は届くと思っていたけれど。

なんだろう?、この右の目からだけ滲む涙は。止まらない涙は。


先生、ありがとうございました。

風鈴のイヤリングをしてくださって。

穴子を喜んでくださって。

いや、そんなことでは無い、本当に感謝しなければならないのは。

先生がいらしたから、先生のお作品があったから、私は今ここにいます。

何のそれらしい仕事もできていませんが、それでもええんちゃうの、と苦笑いしてくださっていると私は思っています。先生は私のたったひとつの言葉に、身を乗り出してお教え下さいました。忘れません。

「田辺先生は厳しい人ですよ」と私を嗤うように言った人がありました。

そんなこと、知らんとおもとんのか、と私はその人が大嫌いになりました。

あんな作品を書かれる方が厳しい人でないはずがない。人にも自分にも根底のところでは厳しいに決まってる。

人間への深い愛情があるということと、ダラダラと人当たりが良いということは別の事。いや、先生は決して威張ったり、キツイ事を言ったりなさる方ではなかった。でも、ヒトの根底を見据える冷徹な目は当たり前だけれど、あったに決まっている。


先生、痛くなかったですか?

苦しくなかったですか?

先生、寂しくなかったですか?


先生、もう一度だけ、甘えた事を言って見たかったです。緊張しまくりながら、でも、一緒にお茶したかったです。


先生、ほんとにほんとに、ありがとうございました。

ほな、また。