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59. ナショナル・アイデンティティ(National Identity)

2019.06.10 15:16

アメリカでの学生生活は自分自身の社会人としての再スタートになったようです。卒業後、日本に帰る機中、私はもっと日本のことを勉強しなくてはならないと決意を新たにしました。本来は日本国民として自国の歴史や文化、慣習などを知っていて当然のことですが、27才になって、やっと自分のナショナル・アイデンティティについて考えることになったのです。学生時代には、歴史上の事件を単に暗記するだけで、その背景になにがあったのか、どのような因果関係があったのかを知る必要はありませんでした。それは日本人としての恥ずべきことなのですが、しかし、この問題は令和の時代を迎えても、残念ながら改善されることなく、むしろ酷くなっている気がします。

さて、問題はどのように学習を始めるかです。まずできるところから始めようと、歴史小説を手当たり次第に読むことにしました。早速、書店に行き目に留まったのが司馬遼太郎の「播磨灘物語」でした。教科書と違って司馬遼の語りの中にはダイナミックさと感動があり興奮しました。特に、竹中半兵衛が黒田官兵衛に言ったとされる「人の命は短い。ようやく一事がなせるのみ。一事の他は私はやらない。それは武辺。日常の全てを武辺という主題に置き、その他は余事だという。大小便でさえ、たとえば武辺の話をきいているときは余事だ。その場でせよ。恩賞をあてにして武辺をなすことは武辺のけがれである。」

この文章が印象に残っています。私も「武辺」を「ビジネス」に置き換えて仕事に邁進しようと考えました。