突然変わる
2019年6月9日
伊藤大輔牧師
使徒言行録2章1−13節
2000年前に教会が生まれた出来事。
弟子たちが集まっている所に聖霊がくだる。
すると諸国の言葉で神の業を語り始める。
ペンテコステに起こった出来事。
この出来事は過去の話ではない。
今日も、これからも教会が覚えていなければならない内容を持っている。
ペンテコステに至る前、弟子たちは主イエスに尋ねる。
「国を再興されるのこの時ですか」と。
主の答えは「時期は神が定める」というもの。
弟子たちのセリフは使徒言行録が記された当時の読者たちの言葉なのではないか。
ローマ帝国との戦争に敗れ国がなくなり、人々は離散していく。
国はどうなるのか。再建はあるのか。
この「時期」への明確な回答は誰も持っていない。
だが、忘れてはならないものがある。
それが物語に刻まれている。
人々が集まっている描写で「ひとつになっていた」との表現を二回用いている。
様子を想像するに吹き荒れる恐怖の中で肩を寄せ合い嵐を背中で浴びながら耐え忍んでいる姿。
敗戦のユダヤ人とも重なるもの。
ひとつになっていると聖霊がそそがれ諸国の言葉を語り出す。
肩寄せ合って内側を向いていた時から今度は外を向いて見知らぬ人々に語り始める。
一見正反対のような姿が記されている。
この正反対の姿に教会のあり方が語られている。
「ひとつ」になっていた弟子達。
彼らは決して仲のいい、何の気兼ねもない集まりではなかった。
主を裏切ったもの、過去に傷を持つもの。
お互い非難しようと思えばいくらでもできる者同士。
その者達がひとつになっていた。
ユダヤ教は母国語を大切にする宗教。
神を、真実を知りたければ、ヒブル語を覚えて来い。
その者達が諸国の言葉で語り出す。
共通しているものがある。
ひとつになっている弟子達。
愛し合っている。
諸国の言葉を語り出す。
近寄る、愛し合う。
教会は何を始まりに持っているのか。
互いに愛し合う。
そこから始まる。
国がなくなり、この先どうしたらいいのか。
未来にどうやって進めばいいのか。
教会に与えられた神の道は互いに愛し合うこと。
2000年前に起こったこと。
2000年持続している企業、学校、国がどれほどあるのか。
国を失った者達は2000年の時を進みゆく秘訣を授かった。
互いに愛し合う。
ペンテコステ2000年の物語。
私たちもその物語をこれからも紡ぎゆく者。