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大野農園(olioli農園)

【大野農園よもやまバナシ】第24話「さようなら、緑の農園」

2019.06.11 23:32

大野農園スタッフのチコです!


先日の日曜販売も、ご来店ありがとうございました。

前週の販売時の忙しさから、心づもりはしていたのですが、やはり今回も、朝採り梅の仕分けに手間取り、お客さまをお待たせしてしまう場面もありました。申し訳ありませんでした…。


言い訳を許してくださるなら、この一週間で予想以上に熟した梅たちは、傷んだものが多く出てきたり、収穫時の衝撃に弱くなって割れてしまうなどしていたため、品質チェックに時間がかかり、作業がスムーズに進みませんでした。

しかしながら、お客さま、皆さま優しく「待っていますので〜」とおっしゃってくださり、談笑しながら接客できたことが救いでした。ほんとうに、ありがとうございました。


梅と柿に関しては、「収穫できた時に販売する」というゆる〜い体制なので(汗)、時間を追うごとにどのように追熟が進むのか、どれくらい経つと、どれくらいの量が販売できそうなのかという、予測が立てられずにいました。この度の反省点を、次回から改善するように努めたいと思います。


そんな、おかげさまで好評の梅。今季は、次回6/16日曜日を持って終了となります。今後の収穫量がわからないので、たいへん申し訳ありませんが、ご予約は締め切らせていただき、当日朝採れた分だけを販売する、という形にいたします。青梅ではなく完熟梅のみとなり、販売量も少ないと思います。何卒ご了承ください。


それでは、毎週水曜日更新のコラム「よもやまバナシ」です!

先日、見出しに《重要》と付けてアップしました「除草剤」に関するお知らせ。皆さま、お読みくださいましたか?

今回は、あらためましてのご説明と言いますか…「さようなら、緑の農園」と題して、私の今の気持ちを吐露させていただこうと思います。


……


数年に渡り、除草剤を極力使用せず、野の草花と共生しながら果樹栽培を営んできた大野農園。この度、雑草対策として、除草剤を使い、きちんと整理された農園を作る運営へと、大きく方向転換することになりました。

ほんとうに、突然のことで、私自身も驚いています。

そして、とてもとても…「とても」がいくつ付いても足りないくらい、悲しい気持ちです。

緑豊かな景色を目にし、包まれて暮らし、仕事をする…これは、私の人生の中で、大切にしたい事柄の、大きな部分を占めていたからです。


実は、除草剤を使用しないことが、都市農業の規定に反することは、薄々知っておりました。

それでも、草刈りをし、部分的には除草剤を使うことで、生産緑地として農業を「営んでいる」ことの証になるのではないかと、大野農園ならではの理念で運営してきたのですが、それはあくまでも、こちらの一方的な考えであり、やはり現実には、規定に則していないとみなされてしまう、ということでした。


確かに、特にこの梅雨から夏にかけての雑草の勢いに、草刈りが追いつかず見苦しい景色になり、手抜き栽培と思われてしまうのも無理はありません。

様々な条件や経緯、事情があり、都会で農業を続けていくなら仕方のないことだと、自分自身を説得し、受け入れるように努力しています。


それでも…やはり、やり切れない気持ちでいっぱいです。

先日、社長が、久しぶりに広範囲に除草剤を撒いた時のこと。撒くと、草花に訪れていた虫たちが、驚いた様子で一斉に飛び立ったそうで、社長も「申し訳ないなぁ、かわいそうだなぁと思った」という話を聞き、私も胸が痛みました。

草花が無くなれば、虫も減ります。虫が減れば、野鳥たちも、これまでのように訪れてはくれないでしょう。

緑に囲まれて大好きなウクレレを弾くことも、もう叶わなくなってしまうのかしら…。

ほんとうに、この景色は、私にとっての、大きな癒しと喜びでした。

今後、除草剤を使用することで、景色が一変するかと思いますが、それがどんな様子なのかは、想像できません。私が悲観するほどではないかもしれませんし、わかりませんが…ひとつ確実なのは、大野農園において語られる、素敵な物語の多くの部分が、消えてしまうということです。

残念でなりません。


お客さまが気になさると思われる、安全性に関してですが…。

使用する除草剤自体は、量販店で販売されているような一般的なもので、根まで作用する強力なものではなく、散布後数日で草を枯らした後、土壌に吸収され、分解されるそうで、農作物、特に果実には毒性が残らない、と言われています。

除草剤の一番の問題は、散布する人が、直接吸い込むことの害と言われているので、除草剤を撒く、社長の健康が心配です…。

除草剤使用の決定から、即日散布され、数日経ちました。これからじっくり枯れてゆくのか、まるで洗い流すかのように降った大雨の影響で、効果が半減したのか、わかりませんが、今も目の前は、これまでと変わらない緑の景色です。


実は、私自身は、都市農業のことをあまりよくわかっていないのですが、人間が持つ本能的な営みと、ずいぶん離れた規定が設けられているのだなと思います。特に現代においては、都市部でこそ、いかに緑が貴重か、猛暑対策や、民家密集地区で農地を営むにあたり、砂埃防止にどれほど役立つか…今後、時代に合わせて、規定が変わってくれることを祈ります。

そして、こういう場で気持ちをお伝えし、皆さまとシェアすることで、その変化の一端を担うことができたらと、淡い期待を抱いています。


この度もお読みくださいまして、心から、ありがとうございました。

私が落ち込んでいても、果実は日々、ぐんぐん成長しています。立ち止まっていられないと、背中を押されるようです。

どんな状況になっても、私は自然に助けられ、癒されているのだと、実感しています。