梅

流れゆく水を点して梅の花　　高資

紅梅や空は川面に映りけり　　高資

雨水の廻りて梅の咲きにけり　　高資

廻りたる天つ水こそ梅の花　　高資

梅が香や蕾は空になおふふむ　　高資

香り立つ空にこそ咲け梅の花　　高資

空に咲き空に消えゆく梅一輪　　高資

魁ける雲の翼や梅ふふむ　　高資

九階に梅の幸ふ香りかな　　高資

たまゆらや香り立ちたる夜半の梅　　高資

九階に梅の八重咲く朝日かな　　高資

梅開く転法輪の気色かな　　高資

天水に磨る墨の香や梅の花　　高資

　三條実美公短冊・京都中村楼にて・明治十二年

玉響のうつつをしだれ梅咲けり　五島高資

たまゆらの五色や枝垂梅光る　五島高資

うつしよへしだれて梅の咲きにけり　五島高資ー 場所: 医薬祖神 五條天神社