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逆のものさし講新聞 「後世への手紙」

「覚悟」元川

2019.06.13 21:00


僕は仕事柄、生き物を殺してしまうことがある。


殺菌剤や殺虫剤を農作物に散布する。当然、それにあった効き目の害虫は殺してしまう。もちろん、それでも生き延びる害虫もいるのだが。


農耕機にて、無意識に殺してしまうこともある。トラクターを乗って、田を起こしているときや、代掻きをしているとき、その刃に当たって、死んでしまっている生き物もいるだろう。


残酷かもしれないが、僕の中で、そういう野生の生き物を農作業中に殺してしまっても仕方がないと思っている。意識して殺している訳ではない。


野生の生き物ならば、危険察知能力があるはずなのだ。それでも殺されてしまうのは仕方がないと僕は割り切っている。


でないと、その為に作業を中断していたら切りがない。


害虫駆除や除草剤を使っている以上、それは生物を死滅させる作用のものであり、それは行っているのに、他の作業では生物に気を使うとは、それこそ生命に差を付けることになるのではないかと思うこともある。


そんな中、春先での出来事。


僕が手動の草刈り機で、畔草を刈っていたとき、擁壁に囲まれた場所に一匹のカエルがいた。多分トノサマガエルだと思う。


草刈り機の高速で回転する刃を雑草の根元に当て切り刻む。そこにカエルがいたのだ。カエルは逃げ惑うも、周りは擁壁。さすがのカエルもジャンプ力では逃げられない。


その間も激しい音を鳴らしながら、高速で回る草刈り機の刃。カエルはジタバタしていた。


と思ったとき、急にピタリとカエルは止まり、身動きをしなくなった。僕は作業を止めずに雑草を刈る。カエルも殺してしまったかなと思っていた。


そしてそこの雑草を刈り終えて、その場を見てみると、何とカエルがいた。生きていたのだ。


あのとき、覚悟を決めての不動が、生きる道を切り開いたのだと感じた。あの覚悟。死ぬ覚悟が必要なのだと。