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TURTLE MARKETING ACADEMY

70. プライドが叩きのめされた

2019.06.13 14:32

第三章 コスメ・マーケティング

救急ばんそうこう「サビオ」の担当プロダクトマネジャーだった時のことです。ライオン社内の技術本部の江畑部員に「サビオ」のパッケージデザインを作成するよう依頼しましたが、色よい返事がもらえませんでした。後で考えてわかったのですが、自分の無知から無理難題な依頼をしてしまいました。その結果、彼は技術部本部長の富田取締役に内容報告をしたのです。

ある日の午後、富田取締役から技術本部に来いと電話がありました。当時の技術本部は別館1Fのフロアーを全部使用して、そのど真ん中に取締役は机をデンと構えて座っていました。技術本部員が100人程いたでしょうか、大きな声で「山口、おまえはどう考えても無理な課題を投げたそうだな。技術現場のことも理解しないでなにを考えているのだ。アメリカに留学したからと言って、でっかい顔をしているのだろう、とんでもない奴だ」と、30分程机の前に立たされ罵倒され怒鳴られてしまいました。あまりにも大きな声なので、フロアー全員が聞き耳を立てているのがわかっていました。私は少しだけ持っていたプライドが完全に叩きのめされてしまい、その日は惨めな思いで帰宅して自己反省を冷静にしてみました。そして、自分が無知であり未熟だったことに気が付き、翌朝、定刻よりも早く出社して取締役を机の前に立って待っていました。当時、富田取締役は始業時間の8時半よりも1時間早く出社し電気をつけないで喫煙をゆっくり楽しむことで評判でした。それを知っていたので、7時に出社して待っていましたが、やがて富田取締役が出社され、机の前に自分が立っていたのを見つけ少し驚かれた様子でした。私は深々と頭をさげ、「昨日叱られたことに対して考えてみました。自分が悪かったことが分かり申し訳なくお詫びにまいりました」と言うのを、タバコの煙をくゆらせながらじっと聞いていましたが何も言われません。自分も一気にお詫びして退出しました。プライドなんて意味がない、真摯な気持ちで仕事をすることが大切だと気を引き締めました。