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特別の教科「道徳」指導案

道徳教育論-理論と実践-(13)

2019.06.14 08:45

3、中学校学習指導要領(平成29年告示) 特別な教科 道徳

 道徳教育の目標について

                        横浜市立大学非常勤講師 鈴木 豊

学習指導要領解説特別の教科道徳編では、道徳教育と道徳科の目標について、第2章道徳教育の目標、第1節 道徳教育と道徳科で、次のように書かれている。

 学校における道徳教育は、特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。)を要とし

て学校の教育活動全体を通じて行うものであり、道徳科はもとより、各教科、総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて、生徒の発達の段階を考慮して、適切な指導を行うこと。としており、目標については次のように書かれている。

道徳教育は、教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき、自己の生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とすること。と書かれている。

 次に、道徳科の目標については、第2節 道徳科の目標に次のように書かれている。

第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳の目標に基づき、よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため、道徳的諸価値についての理解を基に、自己を見つめ、物事を広い視野から多面的・多角的に考え、人間としての生き方についての考えを深める学習を通して、道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を育てる。と書かれている。

今回の学習指導要領の改訂に当たっては、道徳教育の目標と道徳科の目標を、各々の役割と関連性を明確にするために、道徳科の目標を「よりよく生きるための基盤となる道徳性を養う」として、学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の目標と同一で分かりやすい表現とした、とあるように道徳教育の目標について、従来との変更点はない。

前回の学習指導要領に書かれていた「目標」をあげると、

「道徳の時間においては、以上の道徳教育の目標に基づき、各教科、総合的な学習の時間

及び特別活動における道徳教育と密接な関連を図りながら、計画的、発展的な指導によってこれを補充、深化、統合し、道徳的価値及びそれに基づいた人間としての生き方に

ついての自覚を深め、道徳的実践力を育成するものとする」と書かれていた。

つまり、道徳的価値及びそれに基づいた人間としての生き方についての自覚を深め、道徳的実践力を育成する学習、とは、

道徳的諸価値についての理解を基に、自己を見つめ、物事を広い視野から多面的・多角 的に考え、人間としての生き方についての考えを深める学習

ということである。

前回の学習指導要領には「道徳的価値及びそれに基づいた人間としての生き方についての自覚を深め、道徳的実践力を育成する学習」について、次のように説明されていた。

一つは、道徳的価値につての理解である。道徳的価値が人間らしさを表すものであるため、同時に人間理解や他者理解を深めていくようにする。

二つは、自分とのかかわりで道徳的価値がとらえられることである。そのことにあわせ て自己理解を深めていくようにする。

三つは、道徳的価値を自分なりに発展させていくことへの思いや課題が培われることであ

る。その中で自己や社会の未来に夢や希望がもてるようにする。

ふたつの説明を重ね合わせて捉えると目標とする道徳学習が、より理解できよう。

今回の学習指導要領では、従来の道徳的実践力を育成するという表現が、削除され、道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を育てるという表現のみになった。

従来は「道徳性の諸様相」として文科省は「道徳的判断力・道徳的心情・道徳的意欲と態度」という表現を使用していた。

「道徳的実践力」という用語は削除されたのであるが、道徳科の授業において道徳性を育むことは、「道徳的実践力を育む」という内容であり、まったく変更はない。

前回の学習指導要領では「道徳的実践力」について、次のように説明している。

道徳的実践力とは、人間としてよりよく生きていく力であり、一人一人の生徒が道徳的価値を自覚し、人間としての生き方について深く考え、将来出会うであろう様々な場面、状況においても、道徳的価値を実現するための適切な行為を主体的に選択し、実践することができるような内面的資質を意味している。それは、主として、道徳的心情、道徳的判断力、道徳的実践意欲と態度を包括するものである。

本来、道徳的実践は、内面的な道徳的実践力が基盤になければならない。道徳的実践力が育つことによって、より確かな道徳的実践ができるのであり、そのような道徳的実践を繰り返すことによって、道徳的実践力も強められるのである。としている。