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夏至の夜は魔法めいて。

2019.06.21 15:00

Naoyaです。

今日は二十四節気の10番目、夏至です。夏のど真ん中の節気。夏至は北半球では日の出から日の入りまでが一年で一番長く、太陽は一番高く昇り、陽のエネルギーがもっとも高まる日です。日本では梅雨のシーズンの真っ最中なので、あまりそういう実感が湧かないかもしれません。今日から蟹座へ突入です。

これから気温が上がって、さらに夏らしくなっていくわけですが、今日を境にして、明日からは日の出から日の入りの時間がどんどん短くなっていきます。物語というものはクライマックスを迎えると、そこからエンディングへと向かっていくとはわかっているものの、ちょっと寂しい気持ちです。

ヨーロッパなどでは、夏至をとてもマジカルで神秘的な現象として捉えていて、妖精たちが騒ぎ出すとも言われています。そして、夏至にまつわる迷信みたいなものもいろいろあります。たとえば、夏至前夜に摘み取った薬草には特別な効果が宿っているとか、7種の草花を枕元に置いて寝ると幸せになるとか、無花果(イチジク)の木の下に自分の持ちものを置くと、将来の夫の夢を見るとか、夏至の夜に咲いた美しいシダの赤い花を見ると、この世で最高の幸せが得られるとか。ちょっと魔法めいた迷信が多いです。

夏至を祝うお祭りがヨーロッパではたくさん執り行われますが、日本ではさほど盛り上がりません。夏至が梅雨の真っ最中で、陽のエネルギーの高まりを感じにくいことも理由でしょうが、日本は冬でも日照時間が北欧ほど短くないことが理由なのではないでしょうか。つまり、常に身近に太陽が存在して、太陽の有り難みを感じやすいということです。国民の総氏神として祀られている天照大御神(アマテラスオオミカミ)という太陽神、「日出ずる国」という呼び名、そして、日の出の太陽を象徴した国旗ということを考えると、納得できると思います。日本という国には、マジカルで神秘的なものが日常茶飯事に当たり前のように、オープンな状態で存在しているのかもしれません。

日本では夏至が過ぎた6月末に「夏越の祓(なごしのはらえ)」という伝統行事があります。半年に一度の厄落としとして、12月末の「年越の祓」と対になっているもので、千萱(ちがや)という草で編んだ大きな輪をくぐって厄落としをする「茅の輪くぐり」をして、また新しい半年を過ごすために心身の穢れを祓って清めます。

ネイティヴ・アメリカンの間で神聖な植物として、浄化に使われるスウィートグラスというものがあるのですが、これは千萱と同じ種類の植物です。スウィートグラスは燃やすと甘い香りがして、ホワイトセージでネガティヴなエネルギーを浄化した後、スウィートグラスでポジティヴなエネルギーを呼び込む感じで使います。うちにも三つ編みになったスウィートグラスがあって、ホワイトセージと組み合わせて焚いていますが、8の字を描きながらくぐる「茅の輪くぐり」にしても、ホワイトセージやスウィートグラスを焚くことにしても、どこか魔法の儀式やおまじないっぽいなといつも思ってます。

日本の千萱もネイティヴ・アメリカンのスウィートグラスも、清めるために使われていますが、まったく違う場所で同じ種類の植物を、同じような用途で使うという面白さ。もしかしたらルーツは同じだったりするのかも。真相はわかりませんが。

遥か昔、古代人は天空の下で自分がどこにいるのかを確認する際、新たに命が再生していく冬至、陽のエネルギーがピークを迎える夏至、そしてその通過点である春分、立秋というそれぞれの季節の頂点を大切な目印としてきました。

季節の移ろいを体感して意識することは、自分のいるところを確認する作業だと思っています。いつでも季節の節目に立ち返って自分の場所を確認することで、向かうべき未来への糸口がつかめるのだと思います。