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2023.12.25 02:30

みちのくや雨にまばゆき栗の花  高資

栗の花雨の奥にぞ震れやまぬ  高資

ぬばたまの夕陽に揺るる栗の花  高資


青栗や葉隠れの魄(たま)かとぞ見る  高資

兵(つわもの)の魄かとぞ見る栗の毬  高資

 飛山城(国指定史跡)

目眩く六波羅蜜や栗の花  高資

Six paramita

dazzle my eyes -

chestnuts in bloom    Takatoshi Goto

真ん中の暗がる栗の花盛り  高資

幽明に通ひて栗の花匂ふ  高資

波羅蜜のはたては白し栗の花  高資

http://kigosai.sub.jp/archives/4045  より

【子季語】

花栗、栗咲く

【解説】

ブナ科の落葉高木。雌、雄同株で長い雄花の花穂の下に短い雌花 がつく。雌花は受粉すると栗のイガになる。梅雨どきに木を覆う ように淡黄白色の花穂が垂れ下がり独特の青臭い匂いを放つ

【科学的見解】

栗(クリ)は、北海道西部から九州の丘陵地や山地に生育している。クリの花は、虫媒花であるため、独特の匂いを放つことでハエやアブなどの昆虫を惹きつけ、効率的な受粉を行っている。クリは、日本原産の果樹であり、縄文・弥生時代の頃から食用もしくは建材として利用されてきた。クリの仲間としては、外国原産のシナグリやヨーロッパグリなどが挙げられる。(藤吉正明記)

世の人の見つけぬ花や軒の栗

芭蕉 「奥の細道」

逗留の窓に落つるや栗の花

去来 「続有磯海」

闘ひし牛とりこめぬ栗の花

河東碧梧桐 「碧梧桐句集」

母屋から運ぶ夕餉や栗の花

杉田久女 「杉田久女句集」

栗の花紙縒の如し雨雫

杉田久女 「杉田久女句集」

門口や夕日に見ゆる栗の花

松瀬青々 「妻木」

むせかへる花栗の香を蝶くぐる

前田普羅 「飛騨袖」

栗の穂のおのおの垂れて月明り

長谷川素逝 「暦日」

花栗のちからかぎりに夜もにほふ

飯田龍太 「百戸の谿」

神代より産したる苔や栗笑ふ  高資