【超長文レポート】湯沢スカイエクストリーム 2019
我々のチーム「ダブルサバイバー(以下、ダブ鯖)」は一体感がない。「みんなでレース出ようぜ!」とか「夏の合宿やろうぜ!」となっても、自分の予定を優先するメンバーが多い。全く予定を合わせる気がない。
「その日スピード練の日なんで」「その日、ロングライドするんで」と、仲間で集まることよりも自分の練習スケジュールを優先する。スポ根らしく、皆に合わせよう、先輩の意見に合わせようなんてことは全くしない、いかにも近現代的なチームなのだ。自立している、しすぎているほどに。物理的に全然集まらないから、リモートワークならぬリモートチームだ。
もはやチームですらないのかもしれない。でも、ダブ鯖はそんな感じでよいのだ。
さて、そんなダブ鯖メンバーが、珍しくまとまって出ることになったのが「湯沢スカイエクストリーム」だ。と言っても、全メンバーの3分の1にも満たない5人で参加。
左から三田村、副部長の松永、最近好調の高野、僕(渡邊・部長)、スピードスター永田、この5人。ちなみに、松永、永田、渡邊は華の1982年世代。このくらいの年代になってくると、集まりが良くなってくるから不思議。
■参加人数が極端に少ない湯沢スカイエクストリーム
越後湯沢(新潟)で開催される本レースは、実はアクセスが良い。車だと3時間ちょい、東京から新幹線だと1時間ちょいで到着する好立地だ。しかしながら、参加人数は少ない。スタートリストを見てみても、一番人気の55kで150人程度、僕らが参加する27kにあたっては100人を切るレベルの参加人数だ。
随時紹介していくが、コースもけっこう面白いし、もっと人気が出て良いと思う。近くのホテルも綺麗だったし、GALA湯沢内が会場になっているので、受付も準備中も雨風を凌ぐことがデキる。スタート前のトイレ渋滞もナッシングだった。
取り急ぎレース前の僕にとって重要な問題は「ライバルの数と質」。参加人数が少なければ、より絞られた戦いになってくる。
エントリーリストを見てみると、そこまで名の通った選手はいなそうだ。一安心。それと同時に、必然的にチーム内競合への意識が高まる。
■湯沢スカイのライバルは4名
チーム内競合は主に2名。最近調子を上げ、今年のUTMFでは最後の富士吉田エイドまで到達した高野選手、そして毎週一緒にスピード練をしている永田選手だ。特に永田選手はほぼ一回もスピード練習では勝利することができていない俊足の持ち主で、ショートコースとなる本レースでは渡邊最大のライバルと成りうる。同い年だし、イケメンだし、足長いし、負けたくない相手だ。
次にチーム外ライバルだ。会場に到着した僕がまず行ったのは、その他のライバルの品定め。トレイルランニングを幾年か経験していると、ドラゴンボールのスカウターのようなものが発動し始め、顔(頬や目のくぼみ具合)や足の状態を見て、強者かどうか見極められるようになってくる。
僕がライバル認定したのは、追加で2名。アシックスのシューズを履いているロードランナーっぽい選手と、ムエタイの英雄のような長身の選手がそれだ。ライバルを整理すると以下の画像のようになる。
■スタート直後は「いつもどおり」の悪調子
このコースはいきなり直登させられる。最初の登りが2kmほどで400m、少し下って+200m、合計600mの直登だ。
正直昨今の自分のレース展開を考えるに、「序盤の登り」は絶対的に調子が悪い。うまく言った試しがない。またレース当日のTrainingPeaksの「FORM(疲労度)」は-2であり、数値的にも疲れている(あくまでターゲットは翌週の「乗鞍天空マラソン」であり、計画的な疲労状態ではある)。
したがって、最初から無理せず、「仮に調子が悪くても前向きに考える」ようにしてレースに臨んだ。
案の定、スタートした瞬間、「体の重さ」を感じ、「いつもの展開」にハマってしまう。当然走れるわけはなく、ひたすらパワーウォークで進む。
ほんとだめ、全然ダメ。なんか腰が痛いし、息も上がるし、四頭筋は乳酸たまりまくってるし、もうダメダメ。
ライバル①・永田とライバル③・ムエタイの英雄こと佐谷選手が遠く先でトップ争いをしている。永田、調子いいなぁ、あんな登りでも走ってやがる。さすがは鎌倉のキリアン・ジョルネ。ムエタイの英雄(佐谷選手)も力強い。
僕はというとライバル④の堤選手(あとあとインスタを確認したらフルマラソン2時間30分台の猛者だった)にそうそうにかわされ、ライバル②の高野選手にも余裕で抜かれた。それどころか、順位でいうと10位前後まで順位を落としている。
うーん、実にいつもどおり。ただひたすら苦しいまま、山頂に到達した。
■下りでエンジンを掛け、4位浮上
しかしながら、今回はこれで計画通り、なのだ。僕の勝負は5km地点から始まる下りである。予想通り、トリッキーで上手い人とそうでない人で差がつきそうなディメンション。大好物である。
僕の戦略は、最初の5kmの登りはとにかく我慢。5km以降の下りでエンジンに火を入れ、その後の続く7kmほどのフラット区間でスピードアップし、その調子そのままで中間の登り(500m上昇)を制圧する。ラストは足が続く限りダッシュ。というもの。
とにかく最初の5kmは我慢したので、下りになった瞬間、本当に飛ばした(実は予想外にライバル②・高野選手は登りの後半で追い抜いていた)。
普段人が入らない国立公園なのか、木段は腐ってたり壊れてたりするし、足を突っ込まなければいけない渡河も複数箇所あった。ライバル①・永田選手には下りで勝てる自信があるし、ライバル④・堤選手はロードランナーっぽいのでそもそも下りは不得意だろう(シューズ、ランシューだったし)。ここで彼らに差を詰めなければ後半に巻き返しもない。
攻め続けた結果、4位浮上。5km地点(山頂)では5分以上あった3位との差も2分くらいに詰めることができ、さぁいよいよ勝負は後半戦へ。
■永田選手とのバチバチバトル
とりあえず、何が何でも表彰台に乗りたい。2つ目の登り(D+500m)に取り付いた時は、こんなメンタルだった。前半の不調を乗り越え、下りで調子を上げ、3位を追撃している。完全に予定どおり。あとはどこまで順位を上げられるか、だ。
2つ目の登りは急峻で、ロープを使って登るような箇所が複数あった。疲れた足には響く斜度。前半抑えた(というか抑えるしかなかった)僕には好条件だ。(とはいえ足は常に攣りそうだったが)
少し視界が開け、見上げると、ライバル①・永田選手の背中が見えた。その差、90秒ほど。これは抜ける。永田選手は平地が速いので、とにかく山頂までに背中を捉え、激下りパートで劇的な差を付ける必要がある。
徐々に近くなる背中、追い抜くための確認、準備に入る。下りに入った時、1分以内の差だったら残りの4kmで交わすことができる。1kmごとに15秒ずつ詰めればよいのだ。登りは永田選手に軍配があがるが、下りは1kmに15秒縮めるくらいの差はあるはず。
一気にスピードを上げて足がつらないように、事前に塩分を摂取。水の量も確認し、カフェインジェルを投下。準備が整ったところで、下りの林道。加速する俺。
最後のエイドを永田選手がスルーする。僕も当然、スルーする。そして、一気に差を詰める。時計をみると、ペースは3'38/km。一気に置き去りにできるペースを保ててる。
永田選手に追いつき、計画通り、一気に抜き去る。メンタルをベッキベキのバキバキにおらなければならないので、抜いた後もスピードを緩めない。予想外に登りの林道とかもあったけど、もう抜いちゃったからには後には引けない。超絶苦しいが、粘って粘ってスピードを維持する。
が、さすがスピードスター永田選手。俄然ついてくる。メンタルつえぇ!確かにいつものスピード練でも、仕掛けたら抜き返してくるやつだ。そろそろ僕ちゃん限界だよこの野郎!
ただこの争い(永田vs渡邊)は表彰台がかかっている。力を抜いて追い抜かれて4位着地、になったら泣くに泣けない。1位はSUUNTOがもらえるらしい。3位はなんだ?SUUNTO的なやつはもらえるのか?
確定しているのは4位にはなにもない、ということだけだ。何が何でも表彰台に乗りたい!
メンタル弱めの僕にしては頑張り続け、林道からゲレンデの激下りに差し掛かると、一気に差が開いてきた。この馬鹿みたいに太い太ももはなんのためにあるんだ。こういう激下りでダメージを気にせず走るためではないのか!太ももの太さだけだったらTomoさんにだって負けないのだ!
そのままスピードを落とすことなく、UTMFばりに人のいないゴールへ到着・・・無事3位・・・と思ったら、ライバル④・堤選手がコースロストをしたようで、棚ぼたの2位。90秒差で永田選手が到着し、3位。チーム内で2人、表彰台に登ることができた。
■湯沢スカイ、は結構面白いレース
コースは上記Stravaを御覧いただきたいんだけど、激登りあり、激下りあり、渡河あり、とショートコースにしてはバリエーションに富んでいてGood。
ショートレースにしては「水1リットル」「雨具」「防寒具」「ライト(予備含む)」などレギュレーションが厳しく、ザックがマストになってくるが、アクセスもよく、エントリーフィーも妥当。
参加人数は少なく、順位が狙えるレースだと思うので、成功体験がほしい人はぜひトライしてほしい。
装備は以下で臨みましたとさ。
■湯沢スカイエクストリーム用の装備
- PANTS:MMA「MMA CRAZY 7pkt Run Pants v2」
- T-SHIRTS:MMA「MMA Packable Pocket Tee」
- CAP:MMA × blackbrick × velo spicaコラボキャップ
- SHOES:NIKE「テラカイガー5(志茂田景樹カラー)」
- BACK PACK:NORTH FACE「TR6」
テラカイガー5は、こちらのレビューでは割と「塩レビュー」してしまったんだけど、履きなれるうちに安全に一軍化してきた。後半の林道の下りはこいつのおかげが結構大きい。ペガサストレイルが出たばかりだけど、テラカイガーがやはり本命だと思う。
■湯沢スカイエクストリーム用の補給
ショートレースは、レース前の補給が大事。しかしながら、レース前に食べすぎると体重増につながるし、下りでお腹を壊したりするので、なるべく軽量に仕上げたい。ということで、最近は「エネ餅」と「ぬれ煎餅」を多用している。レース前は甘い糖質よりもしょっぱい糖質がおすすめ。
朝ごはん代わりに車の中で、
- エネ餅×2
- ぬれ煎餅×6枚
合計600〜700kcalを摂取。またレース時間が短いので、アミノ酸もレース前に摂取。アミノ酸は手放せなくなっている「俺は摂取す。」を(レース後にもリカバリーで摂取。こちらのページからお得に買えるので興味ある方はぜひ)。
レース中はいつもどおり。30分に1ジェル想定、3時間でクリアすることをイメージしてたので、ジェルは6つ。ジェルボトル2本に分けてセッティング。ショートレースはジェルボトルでクイックに摂取するのがおすすめ。
- マグオン(アップル)5つ
- メイタンCCC×1つ
- VEPSA×1つ