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オンラインサポート担当者の陥りやすい3つの誤解

2019.06.21 12:00

近年、経費削減目的で電話サポートからオンラインサポートに移行する企業が増えましたが、いくつかの企業は非常にレベルの低い残念なサポートにとどまっています。

たとえば横浜市では「市民からの提案電子投稿システム」を運用しオンライン上で広聴業務を行なっていますが、このシステムでは一対となる提案と回答に共通の管理IDを割り振っておらず、さらに提案者に送信する回答文に対となる提案文を引用しないため、どの提案とどの回答が一対になっているのか市民からは全くわかりません。回答文の内容から類推するしかないのです。時にはなにに対する回答なのか全く要領を得ない回答が送られてくることもあります。

残念な理由の何割かは顧客に対する誤解に由来します。CRM(カスタマー・リレーション・マネジメント)システムの設計者が顧客に対する誤解をしたままシステムを設計し、それを使うサポート担当者もそれに引きずられて誤解してしまうのです。

典型的な誤解を3つご紹介します。

3つの誤解

顧客は質問の内容を覚えている ←No!

サポートとは基本的にアクシデントに直面し追い詰められた人が頼るサービスです。冷静さを欠いている顧客に記憶力を期待するのは無理です。

チャットを用いたサポートであればリアルタイムのやり取りが可能でありログもまとまった形で残りますが、電子メールの場合はそうはいきません。

顧客への回答をメール送信する際は、質問内容の全文引用を添えるべきです。

顧客は常に1つの質問しかしない ←No!

オンラインサポートは気軽に問い合わせを送信できるため、思いついたことを即座に送信する傾向が高まります。短期間に複数の問い合わせを送信する顧客がいることは前提とすべきでしょう。

短期間に複数の問い合わせを送信する顧客が増えるということは、質問の内容を覚えていない顧客がさらに増えるということです。

くりかえしになりますが、顧客への回答をメール送信する際は、質問内容の全文引用を添えるべきです。そして一人の顧客からの複数の質問案件を同時に処理できるシステムの構築が必要です。

顧客の質問に答えるのがサポートの仕事 ←No!

たとえば、市役所ウェブサイトの検索機能でキーワード「生活保護」で検索した人がいたとしましょう。彼の目的はなんでしょうか?「生活保護に関する情報を調べる」ことでしょうか?「手段は問わないから今の生活苦から助けてほしい」と思っているのではないでしょうか?

このような、問い合わせの裏にある真の課題・真の困りごとの解決を目的として顧客との関係性を構築することを「カスタマーサクセス」と呼びます。カスタマーサクセスでは、顧客との長期的な関係性を維持することが利益拡大の要であるとし、サポート業務も製品開発やサービス開発と同様に利益拡大の手段とみなします。よってカスタマーサクセスでは、積極的に顧客に質問し提案して顧客の真の課題に近づく姿勢がサポート担当者に求められます。

カスタマーサクセスはサポート部門単体では実現しない取り組みですが、いずれはビジネスの常識になるでしょう。いまのうちから顧客の真の課題に近づく姿勢を身に付けたいものです。


顧客の立場に立って考えるのはビジネスの基本です。顧客の立場に立って顧客にとって良い体験を提供し、顧客と企業とがWin-Winの関係になれるビジネスを目指しましょう。