菊の御紋はナンバープレート?
天皇陛下がご乗車あそばされるお車(御料車)には、一般国民の自動車のナンバープレートが貼られる位置に、菊の御紋(十六八重表菊)が「この御紋が目に入らぬか!」とばかりに金色に輝いている。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/gishikitou_iinkai/dai2/siryou2-2.pdf
「この菊の御紋がナンバープレートなのであろうか?」と長年疑問に思っていた。通常の書店で販売されている六法全書に載っていない法令については、図書館に置いてある全100巻の加除式(バインダー式)六法全書で調べなければならず、面倒なので、長年この疑問を放置していたわけである。
ブログを書き始めたので、ちょうどいい機会だと思って、総務省のデーターベースで調べてみた。今の時代は、総務省のデータベースで簡単に法令を検索できるので、ずいぶん便利になったものだとつくづく感心する。調べたことを忘れないうちに書き留めておこうと思う。
まず、ナンバープレートについて定めている法律は、道路運送車両法であった。
ナンバープレート(自動車登録番号標)の交付を受けて、これを自動車の所定の位置に取り付け、封印の取り付けを受け、表示しなければ運行の用に供してはならないことになっており(道路運送車両法第十一条第一項・第十九条)、例外は一切認められていない。したがって、御料車にもナンバープレートを取り付けなければならないわけである。
そして、ナンバープレートに関する細目的事項は、国土交通省令で定めることになっている(道路運送車両法第三十九条第二項)。
cf.1道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)
(この法律の目的)
第一条 この法律は、道路運送車両に関し、所有権についての公証等を行い、並びに安全性の確保及び公害の防止その他の環境の保全並びに整備についての技術の向上を図り、併せて自動車の整備事業の健全な発達に資することにより、公共の福祉を増進することを目的とする。
(自動車登録番号標の封印等)
第十一条 自動車の所有者は、前条の規定により自動車登録番号の通知を受けたときは、当該番号を記載した自動車登録番号標を国土交通大臣又は第二十五条の自動車登録番号標交付代行者から交付を受け、国土交通省令で定めるところによりこれを当該自動車に取り付けた上、国土交通大臣(政令で定める離島にあつては、国土交通大臣又は政令で定める市町村の長。以下この条(次項第三号及び第三項を除く。)において同じ。)又は第二十八条の三第一項の規定による委託を受けた者(以下この条において「封印取付受託者」という。)の行う封印の取付けを受けなければならない。
(以下、省略:久保。)
(自動車登録番号標の表示の義務)
第十九条 自動車は、第十一条第一項(同条第二項及び第十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定により国土交通大臣又は第二十五条の自動車登録番号標交付代行者から交付を受けた自動車登録番号標を国土交通省令で定める位置に、かつ、被覆しないことその他当該自動車登録番号標に記載された自動車登録番号の識別に支障が生じないものとして国土交通省令で定める方法により表示しなければ、運行の用に供してはならない。
(命令への委任)
第三十九条 登録の更正に関する事項その他の登録の実施のために必要な事項は、政令で定める。
2 自動車登録番号標、その封印、譲渡証明書並びに臨時運行及び第三十六条の二第一項の許可に関する細目的事項は、国土交通省令で定める。
そこで、道路運送車両法施行規則を見てみると、ナンバープレートの様式については、道路運送車両法施行規則第十一条第一項・第二項に定められていた。
一般の自動車のナンバープレートについては、第一号様式に普段よく目にするナンバープレートの図が載っている。
そして、「宮内庁の所管に属する自動車であつて、専ら天皇、皇后又は皇太后の用に供すべきものの」ナンバープレートについては、第一号様式の二に図が載っていた。
御料車のナンバープレートは、小さいし、走行中のテレビ映像では確認しにくいため、気が付かなかったのだろう。
これで長年の疑問が解消し、スッキリした!
cf.2道路運送法施行規則(昭和二十六年運輸省令第七十四号)
(自動車登録番号標の様式等)
第十一条 自動車登録番号標は、第一号様式による。
2 前項の規定にかかわらず、宮内庁の所管に属する自動車であつて、専ら天皇、皇后又は皇太后の用に供すべきものの自動車登録番号標は、第一号様式の二による。
(以下、省略:久保。)
第一号様式の二(自動車登録番号標)(第十一条関係)
御料車と言えば、天皇陛下の御料車が、緊急走行中の救急車を先にお通しあそばされた動画がタイで大きな話題になったそうである。
海外「これが日本の凄さだよ」 天皇陛下の御料車列が取った行動にタイ国民が衝撃
http://kaigainohannoublog.blog55.fc2.com/blog-entry-3093.html
タイには、不敬罪があるので、4回目の結婚をなさった現国王に対する不平不満を公にすることができないため、逆に、天皇陛下の御料車の行動を褒め称えることを通じて、現国王への不平不満を暗にほのめかすようなコメントが少なからずあるように思えるが、これは如何なものかと思う。