相続手続き
7.相続に関する主な手続き
相続の手続きには、ここまでご紹介してきた相続放棄の申し立てや遺言書の検認などのほか、さまざまなものがあります。この章では、相続に関する主な手続きとして次の3つをご紹介します。
預貯金の相続
不動産の相続登記
相続税の申告
7-1.預貯金の相続
預貯金の相続は、預け入れ先の金融機関で手続きをします。預金の名義を書き換えるのではなく、預金を払い戻す手続きになります。
手続きには主に次のものが必要です。
【遺言書がある場合】
遺言書
検認調書または検認済証明書(公正証書遺言では不要)
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
預金を相続する人(遺言執行者がいれば遺言執行者)の印鑑証明書
(裁判所で遺言執行者が選任された場合)選任審判書謄本
【遺言書がない場合】
相続人全員の実印が押印された遺産分割協議書(遺産分割協議をした場合)
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書
金融機関に被相続人の死亡を届け出ると、相続手続きが終わるまで口座が凍結され入出金ができなくなります。口座の凍結は、相続人の誰かが勝手に預金を引き出すトラブルを防ぐために行われます。
なお、葬儀費用や当面の生活費など一定の限度内であれば、相続手続きが終わるまでの間でも引き出しができる場合があります。引き出しができるかどうかは、預け入れ先の金融機関で確認してください。
7-2.不動産の相続登記
被相続人が所有していた不動産を相続したときは、法務局で相続登記をします。
相続登記に期限はありませんが、相続登記をしなければ不動産は相続人全員で共有している状態となり、将来売却するときの手続きが煩雑になります。子から孫へ相続人の世代が進むと相続人が増えて収拾がつかなくなる恐れもあるため、できるだけ早く相続登記をしておくことをおすすめします。
相続登記に必要なものは以下のとおりです。
相続登記申請書
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
相続人全員の戸籍謄本
相続関係説明図
登録免許税(固定資産税評価額の0.4%、固定資産税評価証明書を添付)
不動産を相続する人の住民票の写し(相続登記申請書に住民票コードを記載した場合は不要)
【遺言書がある場合】遺言書
【遺言執行者がいる場合】遺言執行者の印鑑証明書
【遺産分割協議をした場合】遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書
7-3.相続税の申告
相続税は遺産を相続した人に課税される税金です。相続開始から10か月以内に申告と納税をしなければなりません。
誤解されていることが多いのですが、相続税は遺産を相続したすべての人に課税されるものではありません。申告が必要かどうかの判定には正確な試算が必要ですが、目安としては遺産総額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」以下であれば相続税の申告と納税は必要ありません。
相続税の申告が必要な場合は相続税の申告書を作成して、次の書類と一緒に税務署に提出します。
被相続人と相続人の関係がわかる戸籍謄本など
遺言書または遺産分割協議書の写し
遺産分割協議書に押印した印鑑の印鑑証明書