読書会の迷走
今回の読書会。
テーマは「迷作」
にてお送りします。
いや、いろいろ迷作揃いでしたが、総じて方向性では
作品性を飛び越えて作者様の思いが爆発してしまう瞬間にカテゴリーされました。
我ら愛読家達としては
その中でも時代的に今から見るとあまりに迷走なもの、
発展途上の表現を愛でる機会に相成りました。
そんな迷作紹介の中、私が出した話題は2つ、
1つは時代的迷作表現に追随しての
うしろの百太郎
君は信じられるか!?
と突然読者に語りかける主人公はまさに今ならメタと呼ばれてしまう手法。
それを大真面目にやっているのだから、当時とは違う面白みです。
そしてメインに選んだのはこちら
ホーリーランド
今も新作連載される作家様であり、
迷作という言葉を出す前に敬意を表したい。
私はこの作者様は、格闘漫画の金字塔と言われる刃牙。
かの作品にも引けを取らない作品だと思っています。
路上格闘技という分野、青春と非行問題に触れ、
ストリートファイト環境下での
経験談の様な考察が見られます。
突出した表現力が扱われた心理描写
は環境やメンタル面での戦闘力の変化にも触れられており
創作物が現実を切り取ったものである事を考えると
まるで100パーセントに迫る切り取りに成功した
そう思える味わい深き名作です。
とはいえ今回はこの作品を迷作……
3つの迷作として紹介します。
迷作1
登場人物の迷走
恋愛、合法ドラッグ、燻った未来への迷走に至っては
先の無い路上に燻る青年達の心のキズと迷走
という非常に繊細な問題をフォーカスしている事を私は高く称賛しますが、
中でも主人公に負け続けるライバルの嫉妬心。その迷走は
まるで乙女心の様な繊細さ
ストリートファイト漫画でこの様な表現をすることも珍しいかもしれませんが……
強くなった君に振り向いて欲しい。
今の僕は君にどう映るのか?
そうだ僕は君の強さに嫉妬している。
負けたと聞いた君を今は的なのにすごく心配した。
搔き集めるに彼、空手青年の心は
狂おしいほどに純情で読み返し必須な美味しい迷走です。
迷作2
オープニングでの迷走。
主人公の青年はふとした機会から不良狩りと呼ばれる。
しかし普段は引きこもりのいじめられっ子だ。
彼は初めて強大な承認欲求の海に満たされ
いざストリートファイトの世界へ
いや、向かう先も承認欲求もどっちも大迷走なんですが、
そもそも承認欲求という思考がまだ今ほど浸透しない当時にこの展開はすごい事で、
いや、ある意味当時の不良イキリ、
その登竜門的な仮説として説得力を持つくらいです。
1つ上と今の絵。1巻から18巻の変化です。
彼らの心境、年齢も変わりますが、絵の上達も目覚ましい。
このホーリーランドは
この作者様にとって漫画家としての成長を共にした
さも特別な漫画と言えるでしょう。
それ故でしょうか。最終巻の大詰めでは作者様御自身の思いが爆発する……
名作3
まさに私(作者)もその1人だった
突然の作者語りには当時驚いたものの……
しかし、これだけは言わせてください。
この作者様のこの作者語りの独特な節は作品内他にも見られ決して唐突ではなく、
格闘ウンチクを交えてきた過去から
迷作ではあるものの
人を惹きつける稀有な表現
でもあると思っています。
是非このコマをネタと見ずに
培われた1〜17巻の歴史の後にこのシーンを拝見頂ければ嬉しいです。
今回は迷作のテーマに沿ってではありますが、
私が心からおススメ出来る漫画の1つ
ホーリーランドをご紹介でした(*´∇`*)