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MAHALIK HALILI

マスターテープがなくなって、実は良かったかもしれない話

2019.06.24 08:32

デザイナーのせっちゃん、月刊「Player」の北村さん、ベーシストのトーベンからも話を聞いていた「針を使わないアナログ盤プレイヤー」の音を聴きに行ってきました。


「レーザーターンテーブル」


これを製造しているのはエルプさん。行く前までCDの音が無敵だと思っていた私は自分のレコード盤の音を聴いて震えた。自分でも驚くくらい震えてしまいました。


音を聴かせてくれたのは竹内さん。

事情を説明すると


「マスターテープがなくなって良かったかもしれませんよ、ほら」


と、音を出してくれた。

ずんと体の中に響く、すぐそこにバンドセットがあるかのような錯覚。音が立ってる!


これだと茶柱みたい。つまりは音が立体的なのです。この気持ちの良い感覚はレコーディングスタジオにいるときのあの感覚とそっくり。


CDと比較するとその差は歴然。最近、レコードブームが沸き起こっているのも納得です。


「よくできているので、このままノイズを取るだけで良さそう」


このノイズは盤の傷ではない。盤にする前にこびりついた傷だ。


それまでの時間もレーザーターンテーブルや音について、たくさん説明していただいたのに、さらにまたここからノイズをどうとるのか、とったらどうなるのか、言葉と耳で教えていただきました。


滞在時間は…書けないくらい。もう何時間もお邪魔してしまいました。


恥ずかしながら、私の家にはレコードプレーヤーがない。

だから実は、『赤色人形館』も『パンドラの呪文』も30年近く聴いていなかった。


ここエルプに滞在した数時間で変化したのは、「参加してくれたミュージシャンの音を残したい」と思っていた気持ち。


今は「一人でも多くの人にこの音を聴いてもらいたい」と強く思っています。

マスターがなくなった、というレコード世代のミュージシャンはレーザーターンテーブルを選択肢のひとつに入れたら良いかもしれません。

最もこだわりたかった音について、大きく前進したかも。まだいくつもある工程のうちの最初の1の始まりですが、とっても大切な1です。


そして『赤色人形館』と『パンドラの呪文』に謝りたい。30年以上も放ったらかしにしてごめんね。当時の私、参加ミュージシャン、協力してくれた皆さん、みんなみんなごめんなさい。


ななきさとえ