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「宇田川源流」 どうなる北方領土!日露交渉の行方とそこにある障害

2019.06.24 22:00

「宇田川源流」 どうなる北方領土!日露交渉の行方とそこにある障害

 北方領土の問題、北朝鮮の拉致被害者の問題。この二つの問題に関しては、かなりデリケートな問題であるという認識がある。そのためにあまり語りたいとは思っていない。しかし、残念ながら、日本国内における「保守」を名乗る一部の人々の中に、どうも冷静な交渉を阻害するような意見を言う人が少なくないので、非常に残念な結果になる。

今回は北方領土の問題に関してなので、拉致問題ではなく、北方領土問題だけにこだわって話をするものとする。

どうも、あの人々は私は得意ではない。外交交渉というのは相手のある話であり、なおかつその相手との力関係がある上に、その交渉において様々なバランス感覚をもって行わなければならない。当然に、保守的な論理の「あるべき姿」論を話すことができても、そのことが受け入れられなければ全く話にならないのである。交渉で相手に受け入れられないことを何を言っても意味がない。

例えば、誘拐事件があったとする。誘拐犯人が身代金を持って来いという。単純に考えれば誘拐犯の犯人に金などくれてやる必要性などはないのである。それが「あるべき姿」論である。そのようなことをせずに誘拐犯を逮捕し、そのうえで人質を開放するのが理想であり、尚かつあるべき姿であろう。しかし、そのようなことをして人質が殺されて、犯人が逃亡してしまった場合どうするのか。無責任に「あるべき姿」論を言う人々は、そのような状況に関して他人や警察を批判することはしても、自分たちの論拠が問題になったというような自覚がない。そのうえで、実際に誘拐犯などと交渉することもなければ、そのような経験もないのである。

無責任な言論が国論をおかしくするというのは、何も左翼主義者にだけ当てはまることではない。常に「現実に即した内容を発現する責任」が言論者には存在しているはずであるが、残念ながら、そのことは重視されないのである。

その結果どのようなことになるのか。北方領土の交渉は完全に暗礁に乗り上げたといえる。

北方領土「引き渡す計画はない」 プーチン大統領、訪日前に表明

 【モスクワ共同】タス通信によると、ロシアのプーチン大統領は22日放映のロシア国営テレビの番組で「(北方領土を日本に引き渡す)計画はない」と述べた。29日に大阪で予定されている安倍晋三首相との首脳会談を前に、領土問題で譲歩する考えのないことを改めて表明した。

 週末のニュース番組で、司会者の「4島住民らは将来何を期待できるか」との問いに、プーチン氏は「ロシア政府が策定した南クリール諸島(北方領土)を含む極東地域の大規模な開発計画を実現していく」と表明。新しい空港にも言及し「インフラも整備していく」と付け加えた。

共同通信2019年06月22日19時49分

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/kyodo_nor/world/kyodo_nor-2019062201002291?fm=topics

 「あるべき姿」論を言った人物として、北方領土の問題で最も最近有名になったのが、元日本維新の会の丸山穂高議員である。

彼の論拠は別段おかしな話ではない。単純に、もしも交渉で北方領土の返還が実現できなかった場合、戦争をしてでも取り返すつもりはあるのか、その覚悟はあるのか、というものである。別段間違えたことを言っているとは思えない。しかし、一方で、誘拐犯に対して「犯罪者に身代金を渡すのはおかしい」といっているのと同じで、「身代金を渡しても人質が返ってこない場合または交渉で人質が返ってこない場合、強行捜査に切り替えて、戻す覚悟はあるのか」ということだ。つまり、その場合の人質の命などの考慮は存在しないということになる。「あるべき姿」論としては当たり前の話かもしれないが、しかし、残念ながら現実の問題としてはそのような話ではないのである。

さて、丸山穂高氏の発言に関して書いた私のブログ(「宇田川源流 領土は戦争で取り返せという丸山議員の言葉で思うことと日本人の「戦争アレルギー」・2019年5月16日 https://udagawa-keisuke.themedia.jp/posts/6237377 )の中にも「その疑問を呈する態度は正しいかもしれないが、一方で、その表現方法は完全に間違えている。「言葉を仕事にする者が、表現を間違えた」場合は当然にその責任を負うべきであると考える。議員である以上、少なくとも数万人以上の国民の代表である。そのように考えた場合、その発言は誤解の無いように思われるべきものであると考える。」<ブログより抜粋>とあるが、さっそく、その発言がうまく逆手に取られて、プーチン大統領は北方四島を返還する計画はないと表明したのである。

単純に、丸山議員の発言がそれだけで原因になったとは言えないが、プーチン大統領がそのようなことを言いやすい環境を作ってしまったということは否めない事実であろう。何しろ「戦争」まで言い出しているということにもなるならば「平和的な領土返還」を日本側から拒否してしまったような感じになってしまっていることは間違いがない。単純に、戦争を覚悟するというのは内部的なものであって、少なくtもの北方う領土という現地において、敵方も聞いているような場所で話すような話ではないのである。

そのうえで、日本との「経済連携」もないということになる。

プーチン氏は「ロシア政府が策定した南クリール諸島(北方領土)を含む極東地域の大規模な開発計画を実現していく」と表明。<上記より抜粋>

つまり、ロシアは独自に開発計画をするので日本は必要がないということを表明したのである。今後、このような「外部的要因による交渉の失敗要因」を抱え、安倍内閣はどのように交渉を行うのであろうか。