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知らずに面接していませんか?エンジニア面接するなら知るべき求職者視点

2019.06.25 22:00

「ビジネスサイドやコーポレートの採用はうまくいっているのに、エンジニア採用に悩んでいる!」

という人事の方、いませんか?

おはようございます、ポテンシャライト土屋です。


本日の目次
0. はじめに(エンジニア採用の外部環境って?)
1. 求職者に向き合うときに大切なこと

2. 「転職理由」を整理してみる

3. 「エンジニアならではの転職理由」を書き出してみる


0. はじめに(エンジニア採用の外部環境って?)

Webサービスはじめ、ノンITの事業会社でも、多くの会社がエンジニア採用をしていますよね。

事業会社のIT投資は横ばい、またはやや微増の傾向が続いています。


大手企業は守りのIT投資がひとしきり一巡し、攻めのIT投資額を伸ばしていますし、中小企業は働き方改革の波もあり業務効率化のためのIT投資が伸びています。

有効求人倍率は1.6倍以上という高騰が続いている中、IT系職種は2~3倍が続いており採用競争の激しい職種となっています。(厚生労働省・ハローワークの公式発表より)


※なお、ハローワークによる計算の母数になっていない、求人化されていないIT求人が世の中には沢山ありますので、実質は数倍高い求人倍率だと思っていただいて良いかと思います。


また、経産省発表によると2020年に約37万人、2030年には約79万人のエンジニア(情報処理系人材)が不足すると予測されていますね。


「エンジニア採用」は、今後もしばらく業界・会社規模問わず、多くの会社を悩ませる採用課題なのではと思っています。

そんな中、エンジニア採用がうまくいく企業と、エンジニア採用をしたくても苦労している企業の分かれ目はなんでしょうか?面談・面接の一つの切り口でお話しできればと思います。


1. 求職者に向き合うときに大切なこと

前提、採用広報や媒体選定、スカウト、といった入り口施策(流入)の努力も非常に重要です。

その上で、面談・面接以降の接点の場で、どういったことを配慮して求職者と向き合うべきでしょうか。


ひとつ大切なことを挙げるなら、「求職者の視点にたつこと」です。

シンプルで当たり前に聞こえるかと思いますが、意外と欠けがちな視点かもしれません。

自身がエンジニア(元エンジニア含め)として転職経験のある面接官であれば、求職者としてのエンジニアの気持ちを想像したり理解しやすいかもしれません。

しかし、エンジニア経験がない、あるいは、エンジニアと関わってきた経験が乏しい人事や経営者がエンジニア採用面接を行うことも多いと思います。


よくあるNG例:自社のビジョンや事業、技術をとにかくアピール!→これは会社や面接官からの押し付けになってしまうかもしれません。
面接官や人事が自社を愛しているがあまり推しが強くなってしまっているのは重々承知なのですが、求職者のニーズと噛み合っていないケースがあります。


良い例:求職者が転職で叶えたいこと、改善したいことは何か?にあわせて、提供する情報をアレンジ!→相手が求めることにあわせているため、必要な情報提供やすり合わせができ、ご意向が上がりますし、
次の選考や入社以降を考えても有意義ですね。


コミュニケーションで「相手が求めることにあわせて話す」ことは大切なことですよね。

(余談ですが、営業で優秀なトッププレイヤーを自社の人事に抜擢することがありますよね。

営業として成果を出した人が採用担当としても成果を出すのは、この視点を持っているからかもしれません。)


「求職者視点」をもっと具体的にご説明すると、「求職者が転職によって解決(改善)したいこと」をしっかり捉えることだと思います。

すなわち、転職理由をしっかり捉え、それにあわせてコミュニケーションをとることが面接官には必須です。


前置きが長くなりましたが、「では転職理由ってどんなものがあるのか?」、「(特に)エンジニアの転職理由とは?」について、挙げていきます。


2. 「転職理由」を整理してみる


まず便宜的に、転職理由を大きくふたつに分けてみます。

・ポジティブ(自己実現・キャリアアップ)
・ネガティブ(条件や労働環境などの環境改善)


認識すべきなのは、求職者が選考の過程で、いきなり正直にネガティブな転職理由をお話しされることはそうないでしょう。


ただ、人が人生の大きな決断をするときに、ポジティブな側面だけで動くことはほぼないかと思います。ポジティブな側面は必ずネガティブと表裏一体です。

そして、ネガティブな側面がその方の本質的なところ(「これは許せない」という価値観や、最終的な意思決定軸など)であることも多くあります。


ポジティブな側面だけを聞いて「お!前向き!うちの会社にあう!」と早合点しないこと、また、ネガティブな側面だけで「なんだか後ろ向きだな」と思わず、真摯に向き合うことが大切です。


よくあるネガティブな転職理由を整理してみます。


・働き方や労働時間

長時間労働や休日出勤、持ち帰り業務などが転職理由になっているケースです。

特に最近ではSlackなどのコミュニケーションツールの普及や、リモートワークの環境が整ってきており、それがゆえに「退社後や休日も仕事の対応を境目なく行なっている」という場合があります。


また働き方についてですが、

ある方はGW中に会社のSlackが稼働していることが苦痛だった、と言い、別の方は家に持ち帰ってリモートで自由に仕事できるのが良い、とおっしゃいます。

働き方(ワークスタイル)は好みの問題ですよね。


⇒選考では、働き方や就業イメージが湧くようなお話をするようにしましょう。


・年収・給与改善

・現職のビジネスモデルの問題(収益性・ビジネス構造的に上がらない)・人事・評価制度の問題(会社の評価体系的に上がらない)


・上司との関係の問題(上司の評価能力、上司との関係性、自身の成長やスキル問題と様々)

年収や給与改善の転職理由だけでも、このように色んな背景があります。


⇒そもそも内定前の方にどれだけ評価体系を説明できるかはあるかと思いますが、

事業の収益モデルや将来性、また、どれだけ社員へ還元するスタンス・通例なのか、といったことお伝えるといいかと思います。


・人間関係

人間関係を理由とした転職は実はとても多いです。

こちらも背景には環境(職場や上司)の問題と、本人の問題、様々あるかと思います。


⇒この転職理由の方は、どんな人と働くのか?をとても気にされるため、

同じ世代の同僚に会わせたり、社風理解が進む選考をされるといいかと思います。


余談:尚、ライフイベントという外部要因によって制約が発生することも理解しておきましょう。

・子供(お子様が生まれた・大きくなるタイミングで出費が増える、など)
・家の購入(ローンのため収入を下げられない、など)

・介護(収入を下げられない、転勤ができない、など)


30代以降の求職者の方で、この3つのライフイベントはよくある制約です。(個人的に3大ライフイベントと呼んでおります。)

これにより、会社が嫌になったのではないが「転職せざるを得なくなった」、「転職先を決めるにあたって制約条件がある」というケースがあります。こういった背景がある可能性がある、ということを理解しましょう。



3. 「エンジニアならではの転職理由」を書き出してみる

お待たせしました。ここからはエンジニアならではの転職理由を書き出してみます。


(1)技術力を上げたい。

技術選定がモダンでなかった理、尊敬できるエンジニアがいない、物足りない、という理由です。

また、フルスタックの技術を積みたいものの、役割のアサインの仕方が縦割りであり、できることが限定的である、といったご理由もあります。


⇒自社のCTOやエンジニアを紹介したり、エンジニアが外部に技術発信していればその共有、また社内の勉強会文化を伝えるようにしましょう。

ある程度規模以上の会社であれば、業務の割り振り方や裁量の渡し方もお話しすると良いかと思います。


(2)プロダクトづくり、事業づくりをしたい。

軌道に乗ったプロダクトを運用していくのではなく、0→1や1→10でプロダクトを育てたい、という理由です。


⇒エンジニアがどれほど企画やマネタイズに関与しているのかを伝えましょう!

企画担当者との距離の近さ、企画会議にエンジニアが出たり、営業からFBを受ける体制があるか、など具体的にお話しすると良いです。

エンジニアとビジネスサイドで垣根があり連携できていない、といった転職理由もありますので、オープンな意見交換ができる社風なのか、という情報も魅力になります。


※例えば、SaaS会社に転職されるエンジニアの方は、こういった「プロダクトを育てる志向」の方は多いですね。


尚、プロダクトと一口に言っても、求職者の指向性は様々です。

BtoCであれば、「広く多くのコンシューマーにリーチしているサービスを作りたい」・「自分がいちコンシューマー視点で好きなプロダクトを作りたい」。

BtoBであれば、「社会課題や特定の業界への課題意識から来る想い」・「業務の生産性を上げたい、貢献したい」など。


(3)組織・チームビルディングしたい(チーム開発したい)

現職では会社の体制や開発手法によって、チームワーク<個人事業主的の開発スタイルである、という場合です。

また、20代後半以降の方に多いのが、「プロジェクトのリードに立ちたい」、「マネジメントにチャレンジしたい」と思うが現職で機会がない、というものです。


⇒自社のチームで使うツールやナレッジシェアの仕組みなどの、チーム開発や環境の魅力を伝えることはもちろん、

組織の構成や、ご入社いただいた場合のチーム構成をお伝えしましょう。

また、マネジメント候補の採用においては、どのような組織・事業の課題があり、どのような期待があるのか、どのような挑戦ができる機会があるのか、といったお話をしましょう。


(4)経営やビジネスサイドとの方向性の相違

ある程度サービスが出来上がり拡販に注力する段階では、サービスがマネタイズばかり目指してしまいエンジニアにとって最良な決断ができなくなった、という転職理由があります。


⇒経営方針やサービスの中長期的な方向性をお伝えしたり、CTOやエンジニアがどれほどビジネスサイドへ意見する関係性や環境なのか、といったお話をするのも良いかと思います。


(5)経営陣のエンジニアに対しての理解が薄い

・ビジネスサイドと同様の出勤時間や就業形態である
・就業環境(椅子や集中スペース、集中した時間の使い方などのエンジニアが求める環境を理解していない)

例えばこのように、エンジニアの価値観や働きやすさを理解していない、という場合があります。


こちらは面接での伝え方というよりは、中長期的に体制をつくれるといいですね。

経営陣がエンジニア出身など、エンジニアに理解のある環境であればよいのですが、経営陣がエンジニア出身でない場合は、他社事例を参考にしたりエンジニアに耳を傾け、環境を整えていけるといいかと思います。



いかがでしたでしょうか!

実際には、一つの転職理由だけでシンプルに説明できることはそう多くなく、複数の事情や想いが絡まっていたりもします。

現職のビジネスモデルや組織環境、またご本人のご志向によって、転職理由は様々ですよね。そして、それによって面接でお伝えするべき情報は全く変わってきますよね。


また、面接以前のカジュアル面談においては、ただ自社の情報をお伝えするだけでなく、

求職者の方の現職の背景や転職理由をお聞きしながら、それに合わせた情報提供できるといいですね!そうすれば、その後面接に進んでいただける場合にも、その前提を元に面接で有意義な双方理解が進むでしょう。



ポテンシャライトではカジュアル面談や面接のアドバイスもしております。

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