ルールとリンリのハザマ
働き方改革を推進する国、そしてそれを実践しようとする企業。
「改革」というビッグタイトルを用いてまで、国が取り掛かるべきと判断した この国の労使は、今まさに「仕組み作り」から「風土作り」の時代へ変化するよう求められている。
ここ数日の話題と言えば芸能人の闇営業である。
「直営業」とも呼ばれており、会社を通さず個人が先方から直接利益を受け取る方法を指している。
一般企業で言えば、会社が長年かけて築き上げた関係者、また会社のエンブレムや信頼性が在ったからこそ獲得できた契約先に対し、個人的に仕入れた商品を個人的に売り個人的に利益をお財布にしまうという流れに対し、今、芸能人が叩かれているというシチュエーションである。
会社の中に予めルールを犯した際の規約がなければ一発レッドカードは免れらるのかもしれないが、当然「謹慎処分」「減給」などの対応をすることになる。
もし個人的にお財布にしまっていたとしたら、それは確定申告をしなければ「脱税」ということで、規約云々の話ではなく社会のルール違反となる可能性もあったはず。
ここで見えてくる「ルール」と「倫理」の境界線。
倫理ボックスの中に在ある、もっとも軽いミスとしては「社内にゴミを捨てた」というものかもしれないが、その 事が大きくなったバージョン として今回の闇営業がある。
同一に考えるのは理解に苦しむかもしれないが「これをやったらアウト!」というマニュアル(六法全書)に書かれていなければ、それは大も小も全て合法となってしまい、その後の処罰は各企業ごとにルールが定められているだけとなる。
本当は闇営業も良くないし、ゴミを捨てるのも良くないし、同僚に笑顔で挨拶せず同僚の気分や感情を不幸なものにしてしまうこともルールではなく倫理の範疇で横並びのはず。
こんなことは入社の際に説明を受けるものではない。(と言うか書ききれない)
コンプライアンスという言葉で社内の規定や規約を整備することも重要だが、マニュアルに書ききれない留意事項を、いちいち教えなくとも考えて行動できる集団が世の中では求められている。
ルールで縛るのは簡単さ。
そしてルールを持ち出さなくても物事が解決できる集団を作ることが賢者の統率力のような気がする。