フレイルと認知症のニクニクしい関係 2019.06.26 14:41 内容の詳細は省きますが、下記のグラフは某論文から。緑の線が「フレイル」を青い線が「フレイルではない」グループを表しています。横軸が年齢で縦軸が認知症の累積発生率です。このグラフから、フレイルの状態に陥ることで認知症リスクも大きくなることが読みとれると思います。では、常識的な知識をまとめます。【フレイルは認知症のリスク要因である】ここで言う常識的な知識とは、医者なら、ダレでも知っていると言うことです。 運動や食事が重要視されるフレイル対策。考察して見ましょう。山陽新聞より。食改善で高齢者「フレイル」予防 岡山県がリーフレット作製 加齢に伴い筋力や認知機能が低下する状態「フレイル」を食の改善で予防しようと、岡山県は高齢者に十分な栄養摂取などを呼び掛けるリーフレット「食育ナビ~フレイル編~」を作った。 自らの筋肉量や運動機能などを簡単にチェックしてもらい、筋肉やかむ力を維持する運動・体操、虫歯予防の注意点などを紹介する構成。バランスの良い献立のポイントや、タンパク質を補う卵入りみそ汁といった栄養メニューもイラスト付きで解説している。 縦約30センチ、横約60センチを折り畳んでおり、2万部作製。県内11カ所の保健所・支所で配っている。 高齢者は、炭水化物やタンパク質が不足すると日常の活動量の減少や食欲低下を招き、要介護状態になる可能性が高まるとされる。2016年の県の調査では、80歳以上の県内女性の20・9%が肥満度を示すBMIで「痩せ」となり、全国(10・9%)を上回っているという。 県健康推進課は「食事はフレイル予防の第一歩。十分なエネルギーとバランスの良い食事を心掛けてほしい」としている。まとめますと・・・。【蛋白質不足はフレイルのリスク要因である】バランスの良い食事を心掛けてとなりますが、記事では炭水化物とタンパク質には言及されてはいるものの、食事の具体的な内容は?古い記事ですが、認知症では良く研究されています。九州大学の以下の研究は有名。Care Netより。日本人の認知症リスクに関連する食習慣とは? これまで、アジア人を対象とした認知症リスクと食事との関係を評価した報告はない。九州大学の小澤 未央氏らは、日本人における食習慣と認知症のリスクに関して潜在的な関連性を調査した。The American journal of clinical nutrition誌オンライン版2013年4月3日号の報告。 対象は認知症でない60~79歳の日本人1,006人。追跡期間中央値は15年。食習慣を効率的に調査するために縮小ランク回帰を用いた。特定の食習慣による認知症発症の推定リスクは、Cox比例ハザードモデルを用い算出した。 主な結果は以下のとおり。・7つの食習慣を抽出した。そのうち食事パターン1は「大豆・大豆製品」、「野菜」、「藻類」、「牛乳・乳製品」の高摂取量および「米」の低摂取量と関連していた。・フォローアップ期間中、271人が認知症を発症した(アルツハイマー病144人、血管性認知症88人)。・潜在的な交絡因子の調整後、食事パターン1スコアの最低四分位の被験者と比較して最高四分位の被験者では、すべての原因による認知症リスクは0.66(95%CI:0.46~0.95)、アルツハイマー病リスクは0.65(95%CI:0.40~1.06)、血管性認知症リスクは0.45(95%CI:0.22~0.91)減少した。漬け物とお米ばかり食べて、乳製品を避け、おかずである豆類や野菜も取らないのは❌ということ。日本人では、米の取り過ぎに注意してと大豆・大豆製品(植物性蛋白質)および牛乳・乳製品(動物性蛋白質)を充分に取る点が重要。ただし、食事の品目を考慮する際、人種の違いも考えなければいけません。また、Care Netより。肉の摂取頻度が認知症リスクと関連 これまで、食物摂取と認知症リスクとの関連は、初発症状バイアス(逆因果関係)の可能性を考慮して研究されていなかった。フランス・モンペリエ大学のLaure Ngabirano氏らは、肉、魚、果物、野菜の摂取頻度と認知症やアルツハイマー病(AD)の長期リスクとの関係について、初発症状バイアスを考慮して検討を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌2019年号の報告。 12年間に2~4年ごとのフォローアップを行ったThree-city studyより、65歳以上のボランティア5,934例のデータを分析した。食物摂取は、簡潔な食物摂取頻度アンケートを用いて評価した。各フォローアップ時に、認知症症状の有無を調査した。初発症状バイアスリスクを制限するため、データの組み入れから最初の4年間に発生したすべての認知症症例を分析から除外した。社会人口統計、生活様式、健康要因で調整した後、Cox比例ハザードモデルを用いて分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・平均フォローアップ期間は、9.8年であった。・フォローアップ期間中の認知症発症者数は、662例であった(AD発症者数466例を含む)。・調整後、肉の摂取が少ないこと(1回以下/週)だけが、通常の摂取(4回以上/週)と比較し、認知症(HR:1.58、95%CI:1.17~2.14)およびAD(HR:1.67、95%CI:1.18~2.37)のリスク増加と関連が認められた。・魚、果物、野菜の摂取と認知症またはADリスクとの間に関連性は認められなかった。 著者らは「肉の摂取がかなり少ないと、認知症やADの長期リスクを増大させることが示唆された。これまでの研究からの知見は、初発症状バイアスが影響を及ぼした可能性がある」としている。フランスのモンペリエ大学。有名ですね、個人的に(笑)。ノストラダムスが卒業生ですよ、確か。この論文の注目する点が、《初発症状バイアス》です、結果ではなく(笑)。甘いものを好むだけで認知症とされては堪りませんが、嗜好の変化も認知症では認められる症状の一つ。発症前には口にすることが少なかったモノを、認知症が発症したことで、“積極的に摂取”している可能性を排除すべく、最初の4年に発症した症例を除外。コレは立派。似たような研究のどれも、《初発症状バイアス》に触れてきませんでしたから。《初発症状バイアス》なんて概念は以前からありますからね。人種差を考慮せねばなりませんが、こうなります。【肉の摂取不足は認知症のリスク要因である】そして、前述のまとめである【蛋白質不足はフレイルのリスク要因である】肉の摂取不足≒蛋白質不足と考えて良いでしょう。肉の摂取不足≒蛋白質不足⇩フレイル⇩認知症何ごとも、過剰も不足も問題になることを肝に銘じるべきですね。