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運のいい人の法則

2019.06.29 05:51

        最近、重い題材の書籍が多かったので、今回は少し軽め、そして読後にハッピーな気分になれるものを紹介します。リチャード・ワイズマン氏の「運のいい人の法則」です。

       アメリカのニュージャージー州に住む、E.M.アダムズさんは1985年に宝くじで400万ドル当たりました。(これだけでも強運だと思いますが)その四か月後、また同じ宝くじを買ったところ、なんと150万ドル当たったのです。 また、ウィスコンシン州のドナルド・スミスさんの場合は(アダムスさんより額は小さいですが)なんと、1993年5月、94年6月、95年7月の三回にわたり同州の宝くじで当選し、それぞれ25万ドルずつを当てたのです。(この宝くじで一回でも当選する確率は100万分の1にもかかわらずです!)

  人生において「運」は人の運命を大きく左右します。どんなに将来に大きな「夢」を描いてがんばっている人も、どんなに努力を惜しまずがんばっている人にも、「運命の女神」はすべての人に平等には微笑まないですよね。ですからどうせなら(いやだからこそ)自分に少しでもいい運がくるよう、願をかけたり、お祈りしたり、パワースポットへ行ったり、開運体質をつくるために生活習慣を改善したり、(風水にしてもしかり、、)日々気にかけ、実践している人が多いのでしょう。。

  第33代アメリカ大統領に就任したトルーマン(Harry S. Truman)も、「運」の大切さを説く一人です。彼は、若いころは不運続きの青年でした。高校卒業後、大学進学を希望していましたが、父親が事業に失敗し全財産を失ったため、友人たちが進学し青春を謳歌していた時期にひたすら祖父の農場を手伝いました。第一次世界大戦後、彼はカンザスシティで衣料品店を始めましたが、不景気のために敢え無く倒産。やっと彼に運がまわってきたのは30代後半でした。そのころ群裁判所の判事に立候補した彼は、なんとか当選を果たし、42歳で主席判事に立候補しここでも当選。その後、数年後にはなんと、連邦上院議員に当選します。そして、1944年の大統領選で、民主党はルーズベルト大統領の再選の相棒としてトルーマンを副大統領に指名しました。再選を果たしたルーズベルトが大統領就任後82日後に急死したため、代わりにトルーマンが大統領に就任したのです。そして、48年の大統領選では、有利とみられていた対立候補を破り、ついに、アメリカ史上最大と言われた巻き返しをはかり再選を果たしたのです。さらにそのわずか数年後には暗殺されかけましたが、無事でした。こうした人生を歩んできたトルーマンは、その回想録において「人気や魅力は、選挙で勝つために必要な一部に過ぎない。何よりも大切なことの一つは、運だ。私の場合、いつも運が味方してくれた。」と語ったのです。

  本書「運のいい人の法則」の著者、ワイズマン氏は、経歴はちょっと変わっていて、以前マジシャンをしていたのですが、ある日、マジックを実演する時に実演に協力してくれた女性から「自分は運が良くてこの種の出来事はよく起こる。」と言われ、その言葉が気にかかり、それがきっかけで「運」について研究を始めたのです。この研究は、結果的にワイズマン氏が予想していた以上の年月と、運のいい人、悪い人 数百人のサンプリング協力者が必要となる大研究になり、結局、研究が終わるのに8年もの歳月を要することになりました。(そして、本書が、その研究成果なのです。) ワイズマン氏はこの研究を通して「運がいい人」、「運が悪い人」に関してある興味深い共通点を見つけました。それは自分でコントロールできない出来事、偶然の出来事についてです。「運のいい人」(自分で運がいいと勝手に思っている人も含みます。)は、それらがいつも自分にとっていい結果を運んでくると思っています。そして「運の悪い人」(自分で勝手に運が悪いと思っている人も含みます。)は、自分がコントロールできない出来事、そして、できる出来事もすべて自分に悪い結果をもたらすと考えているのです。仮に、「運がいい人」に悪い出来事が起こってもそれは一時的なものと考え、悪いことは続かないと考えます。一方。「運の悪い人」は、その日、好い事が身の回りに起こっても、それは今日だけで明日は続かない、と考えるのです。

   このような、多くの「運のいい人」「運の悪い人」の参加をもとにした研究成果において、ワイズマン氏は最後に「運は魔法の力でも、神様からの贈り物でもない。そうではなく心の持ちようなのだ。どのように考え、どのように振る舞うかなのだ。」と結論し、「四つの法則」を導き出します。(ここでは、その四つの法則の紹介は割愛します。興味のある方は是非、本書を手にとって下さい。)そして、その四つの法則を実践するための「ワークショップ」(ワイズマン氏の研究成果をもとに読者が運のいい人になるために日々実践できるポイントやヒントの紹介)に、一章を設けています。このワークショップの中に12の質問が掲載されていて、これをもとに(自分の)「幸運のスコア」が算出できるのですが、(自分の「運」の実力を判断するテスト)やってみると、意外に思っているほど「運」を呼び寄せる努力をしていないことがわかったり、、と興味深かったです。 最後に作家、ロバート・コリアー氏の引用を紹介します。「私たちは誰でも幸運であり不運でもある。不運に見舞われても我慢して前に進み続けることができる人は、幸運がやって来たときに、たまたまそこにいて幸運をつかむことができる。」(P305)