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髙橋 三保子

紫陽花の誘惑

2019.07.06 02:54

分かっていたの。


近づいてはいけないということは。


でも、どうしようもなかった。


あなたの写真をひと目見た瞬間から、ときめきを抑えられなかった。


はやる気持ちを隠して、階段を駆け上がったわ。


最上階の奥の部屋で、あなたは私を待っていた。


初めは遠くから見ていた。


近づいたら、もう二度と離れられなくなることを知っていたから。


何気ないふりをして通り過ぎようとした私を、彼女が呼び止めたの。


ーーよかったら、一度だけ。


一度だけでは終われない。


そのことを分かっていたから、私は三度、断った。


さりとてその場を去ることもできず、ついに拒みきれなくなった私は、あなたの広げた腕の中に包まれてしまった。


ーーああ、やっぱり。


私はため息をついた。


逃れられない運命が、稲光のように私を貫く。


あなたを知らなかった頃の私には、もう戻れないーー


   ♪


「ああ!もう!絶対こうなるって分かっていたから、試着したくなかったんです。もうこの浴衣を残して帰るなんて考えられない。これ、頂きます。帯?もちろんセットで!!」


「はい!ありがとうございます。お客様、とってもよくお似合いですよ」


…というわけで、浴衣、新調しちゃいました♡


夏の呉服売り場、誘惑が多すぎて本当にキケンです!