竹内流備中伝 中野・高輪道場稽古 技の表裏 2019.7.6
2019.07.07 21:24
中野道場稽古では、
表斉手、裏斉手、備中居合 中、奥
準備体操、打拳基本、受身、
小乱、剣棒 作州・備中、
小具足腰之廻(表、小裏)を稽古。
午後の高輪道場稽古では、小野館長の工夫による備中伝 剣棒術の表裏、五件之捕手の表裏と付手を稽古。
竹内流備中伝の型には表型に対する変化技や返し技として裏型がある。これは、相手がある技を仕掛けてきた場合には、それに対応する技を用意しておくようにという心掛けである。また、そう考えることにより、相手が返せないようにするには、どうすればいいかを考えることにもなる。
もっとも、全ての返し技の返し技を考え続けると無限の連鎖に陥って、きりがなくなる。
この考えをひっくり返す発想が、捕手の発想になる。五件之捕手は、その発想を端的に表している。相手の状況に応じて、相手と同化して、相手を動きにくくしてしまうからだ。
ところで高輪には阿吽の仁王像がある。阿(呼気)、吽(吸気)を表している。
密教では古代インドのサンスクリットの悉曇文字(梵字)の最初の音が「阿(大日如来)」で最後の音が「吽」であることから「万物の根源」と「一切が帰着する知徳、涅槃」の象徴、宇宙の始まりと終わり、生命の始まりと終わりとされている。人は「おぎゃあ」と産声と息を吐いて「呼気」で生まれ、息を引き取って「吸気」で死ぬ。ひと呼吸、ひと呼吸が、ものの始まりであり終わりである。
竹内流備中伝の第一声は、ヤ(Ya)
であり、漢字は矢をあてるが、
この発音には阿(a)がはいり、
これが呼気(息を吐き出すこと)となると同時に吸気(息を吸うこと)を呼び起こすことになる。少ない量の空気を、素早く吐き出し、呼吸する間に相手と一部同化している。