聲の形
第16回目のこだわりの《表情》は、
漫画、聲の形の《表情》です。
アニメ映画にもなった大人気漫画ですね。
小学校のムードメーカーの主人公が
耳の聞こえない転校生と出会い
クラスや友達、周りの環境が目まぐるしく変わっていく。
すっかり変わってしまった主人公は高校生になり
再び転校生に会いにいく…という物語です。
そしてこだわりの《表情》がこちら
大今良時、『聲の形』、講談社、13年11/15初版、1巻142ページ、引用
これはいつも一緒にいた友達に手のひら返されたようにいじめられ、
1人で帰ったが、それを知らないお母さんは友達の分もケーキを用意してくれていて
仲良く3人で食べているふりをするというシーンです。
めっちゃ辛くないですか!?
1人の孤独感、小学生の残酷さ、惨さ、3人を装う辛さ、母に気付かれたくないプライド、
吹っ切れた諦めが
焦点の合わない黒目、無理に笑う口元、ボロボロで濡れた体、感情のないセリフ、
孤独な上からの構図、から感じられます。
読んでて辛くなります…
でもこれって心を動かされているってことなんです!
心を動かされるって
必ずしも感動とかのプラスの感情ではないですよね。
辛さ、怖さ、悲しさだったりマイナスな感情でも心を動かされます。
でもマイナスの感情だからといって作品のマイナスになるわけではなくて、
むしろ作品に引き込まれるんです。
聲の形はそれがすごく上手で
小学生の気持ちの移り変わりやすさだったり、スクールカーストのリアルさ
泣くことのズルさ
先生の無責任さとかが細かく書かれていて
共感しやすく引き込まれます。
マイナスの感情って
プラスの感情より説得力があると思いませんか??
そしてマイナスがあるからこそプラスが活きる
この作品も物語の主軸は高校生の主人公です、
でも小学生の頃のマイナスが描かれているからこそプラスに向かう主人公に惹かれるんです。
デザインでも
プラスの要素だけでは表面的な薄い表現になってしまいがちですが、
マイナスを理解し取り入れることで深みを出すことができるではないかなと思います。
誰しもマイナスの感情は持っている、
それって人間らしいですよね!