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「宇田川源流」 G20で見えた「保護主義貿易」と「安全保障」の限界

2019.07.08 22:00

「宇田川源流」 G20で見えた「保護主義貿易」と「安全保障」の限界

 先週書くのをやめたG20について、今週から書いてゆこうと思う。

今週と来週は、日本国内は参議院選挙であり、その選挙にあまり影響するような書き方をする気はないので、基本的には外交とか国際関係の記事を書いてゆこうと思う。そのように考えたので、先週はわざとG20とは異なる記事を書いた。しかしG20が終わってあえて一週間なにもかかないでいると、その後の流れがよくわかるようになるのではないか。

まずは定義の問題から。

G20とは、"Group of Twenty"の略で、主要国首脳会議(G7)に参加する7か国、EU、ロシア、および新興国11か国の計20か国・地域からなるグループである。

構成国・地域は、アメリカ合衆国、イギリス、フランス、ドイツ、日本、イタリア、カナダ、EU、ロシア、中華人民共和国、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカ共和国、オーストラリア、大韓民国、インドネシア、サウジアラビア、トルコ、アルゼンチンである。

20か国・地域首脳会合(G20首脳会合)および20か国・地域財務大臣・中央銀行総裁会議(G20財務相・中央銀行総裁会議)を開催している。

自由、公正な貿易へ努力=首脳宣言「反保護主義」見送り―G20閉幕

 大阪市で開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は29日、2日間の討議を終え、首脳宣言を採択し閉幕した。米国と中国の貿易摩擦が長期化する中、宣言に「自由で公正かつ無差別な貿易・投資環境の実現に努める」と明記。世界経済の成長は弱く、貿易や地政学上の緊張が高まっていると懸念を示し、「リスクに対応するため、さらなる政策(行動)を取る用意がある」と強調した。

 G20は米国の強い反対から、首脳宣言に「保護主義と闘う」といった文言を盛り込むことは2年連続で見送った。議長を務めた安倍晋三首相は閉幕後の記者会見で「世界経済は貿易をめぐる緊張から下振れのリスクがある」と危機感を表明。こうした中、確実に宣言を採択するため、「各国間の対立ではなく一致点に焦点を当てた」と説明した。

 宣言はまた、海に流出するプラスチックごみを2050年までにゼロにする日本提案の目標「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有したと明記。安倍首相が提唱した「信頼性に基づく自由なデータ流通」の必要性にも言及した。

 日本はG20サミットに合わせ、世界貿易機関(WTO)の枠組みで、データ流通の国際ルールを策定する「大阪トラック」を始動させると宣言。日米や欧州連合(EU)、中国など78の有志国・地域は来月、初の本格会合を開き、来年6月のWTO閣僚会合までに「実質的な進展」を目指す。

 G20サミットでは、米中摩擦を背景にWTOによる多角的貿易体制が揺らぎかねないとの懸念が続出。首脳宣言は、WTO改革の必要性に触れ、米国が批判するWTOの紛争解決制度について「機能させるために行動が必要」と明記した。また、EUの要求に基づき、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に沿って行動することを確認。協定離脱を表明した米国の主張も併記した。

 トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は29日昼の首脳会談で貿易交渉の再開を決め、新たな追加関税の発動を見送ることで合意した。首相は「米国と中国が建設的議論を通じ安定的な経済関係を構築することが極めて重要だ」と関係改善に期待を示した。

 ドイツのメルケル首相は閉幕後の会見で、温暖化対策と貿易分野などを「ぎりぎりまで交渉した」と指摘。フランスのマクロン大統領は「引き続き緊張はあるが、最悪の事態は避けられた」と首脳宣言採択を評価した。

 日本がG20サミットの議長国を務めたのは初めて。G20は日米欧などの先進国・地域と新興国で構成。ロシアのプーチン大統領らも出席した。今年12月以降はサウジアラビアが議長国となる。 

時事通信2019年06月29日19時21分

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/jiji/business/jiji-190629X576

 今回の会議では、様々なことが決められた。実際に「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」といって海洋へのプラスチックごみの投棄の禁止なども決められた。

その最後が「大阪宣言」として、しっかりと20カ国の内容をまとめ、日本が議長国としての役割を果たした。首脳宣言の要旨は以下の通り。

・世界経済は足元で安定化の兆しを示し、本年後半及び2020年に向けて

 緩やかに上向く見通し。

・グローバルインバランス(経常収支不均衡)は世界金融危機の後、

 新興国及び開発途上国において減少しており、次第に先進国に集中してきた。

・高齢化を含む人口動態の変化は全てのG20構成国に対して課題と機会をもたらし、

 こうした変化は財政・金融政策、金融セクター政策、労働市場政策及び

 その他の構造政策にわたる政策行動を必要とする。

・自由、公平、無差別で透明性があり予測可能な安定した貿易及び投資環境を実現し、

 市場を開放的に保つよう努力する。

・デジタル化及び新興技術の適用の促進を通じ、包摂的で持続可能な、安全で、

 信頼できる革新的な社会の実現に向けて取り組む。

・インフラは経済の成長と繁栄の原動力である。共通の戦略的方向性と高い志として

 「質の高いインフラ投資に関するG20原則」を承認する。

・ジェンダーの平等と女性のエンパワーメントは、持続可能で包摂的な経済成長に不可欠である。

・エネルギーミックスにおけるあらゆるエネルギー源及び技術の役割、

 よりクリーンなエネルギーシステムを達成するために国によって異なる道筋が

 存在することを認識する。

・2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す。

 まあ、私が選んだものであるから少し偏っているかもしれないが、こんな感じである。

実際に、「エネルギーミックス」に関しても書かれており、少なくとも、国際会議においてはドイツを含めて「原子力発電を否定していない」ということ人あるし、また、高齢化問題において様々な内容が語られることになるということになる。

まあ、このように考えていると「20か国が友好的な感じで物事を決めた」かのように見えるが、実際にはその裏舞台にはさまざまな問題があった。

明日以降そのことを書くつもりであるが、あえてここで言うと次のようになる。

・20か国から韓国が完全に「ダメな国」として認識されていた。

 このことから、日本はすぐに貿易に関する制限をしたということになる。

・米中貿易戦争の休戦と米中武力戦争の前兆

 今回の内容は「経済戦争」についてだけが語られ、安全保障に関しては全く話されたかった感じだ。そのために、二カ国間の首脳会談などで、かえって関係が悪化した。

 この二つのことが基軸になって「表向きはうまくまとめたが、裏の世界では虚虚実実の内容が大きく動いた」ということになる。

さて、この状態で日本の国内で誰が今後外交のかじ取りができるであろうか。そのことを考えながら、今週はG20とそれをめぐる内容に関して考えてみたい。