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「宇田川源流」 G20の裏で行われた米中首脳会談の『虚』と『実』

2019.07.09 22:00

「宇田川源流」 G20の裏で行われた米中首脳会談の『虚』と『実』

 今回のG20で最も注目を集めたのが「米中首脳会談」ではないか。

そもそもアメリカは、現在イランとの間に問題を抱え、そして、北朝鮮との間でも2月の米朝首脳会談においてうまくいっていなかった状態である。G20から一週間以上たって、その内容がイランでは悪化し北朝鮮では、米朝首脳会談を見てその内容が明らかになった感じがする。

しかし、米中貿易戦争は、G20およびその後の米中首脳会談においても、まったく進展していない状態である。これはいったいどのような状況になっていたのであろうか。

基本的に「アメリカは中国に対して」また「中国はアメリカに対して」どのように考えているのであろうか。

中国の考えていることは非常に簡単である。アメリカさえいなければ、東アジアから南アジアに関しての軍事的な優位性を持っているのは自分たち中華人民共和国なのであって、そのために、日本や北朝鮮、韓国などを平定し支配地域を広げるということを考えている。

習近平政権になって、その覇権主義に関する考え型はより強く表明されたことになり、そのために、基本的には、アメリカ他欧米各国は中国に対して警戒をしている。しかし、中国は国内において次のような軍事目標を掲げ、その内容を講演しているのである。

第一期 ~2025年  台湾を統一する

第二期 ~2030年  南海戦争(南シナ海・東南アジア)

第三期 ~2035年  対インド(蔵南)戦争

第四期 ~2040年  対日戦争(南西諸島占領戦争)

第五期 ~2045年  外蒙古・中央アジア占領戦争

第六期 ~2050年  対ロシア・シベリア戦争

 まさにこのような内容を許さない、最大の抵抗勢力がアメリカということになる。

米関税見送り 日本では“安ど”と“懸念”

 米中首脳会談を受けて、アメリカが追加の関税の上乗せを見送る見通しになったことについて、日本の経済界からは報復関税の応酬による世界経済の悪化が、ひとまず避けられたとして安どの声が出ています。

 米中の貿易交渉が決裂し、トランプ政権が準備する中国への制裁を発動すれば、日本から中国への電子部品などの輸出の減少や世界経済全体への悪影響が懸念されていました。

 また、金融市場でも協議の行方次第では混乱が懸念されていましたが、今回の結果は世界経済にとって前向きに受け止められる見通しで、週明けの株価や為替の動向が注目されます。

 一方で、7月からは日米の貿易交渉が本格化します。

 日本の農業関係者からは、大統領選挙を控えるトランプ大統領が、支持層の多いアメリカ中西部などの農家の票を意識して強硬な姿勢を見せる可能性もぬぐえないことから、警戒する声があがっています。

 また、日本の自動車関係者の間には、アメリカが日本から輸出される自動車に対する関税の引き上げを、再び持ち出してくることへの懸念も根強くあります。

 今後、アメリカが日本との交渉に、どのように臨んでくるかが焦点となります。

【経団連「歓迎したい」】米中首脳会談で、貿易交渉を再開することで一致したことについて、経団連は「世界1位と2位の経済大国である米中の対立で、日本、および世界経済全体の先行きに不透明感が増していることが懸念材料だったが、米中の首脳が協議の再開に向けて一致したことを歓迎したい。また、アメリカが中国からの輸入品に対する追加関税の上乗せを見送る考えが伝えられたことについても歓迎する」としています。

 そのうえで「両国の対立の中心にある産業補助金など構造的な問題については、それほど簡単に合意できるものではないとみているので、引き続き予断を許さない状況だ」としています。

【政府関係者「抜本的な解決に至っていない 今後を注視」】日本政府は交渉の再開を歓迎する一方、貿易摩擦の抜本的な解決には至っていないとして、今後の動向を注視することにしています。

 日本の政府関係者は、「アメリカと中国に対しては、G20大阪サミットの場も含めて日本から建設的な対話を促してきた。世界第1、第2の経済大国が問題の解決に向けて交渉を再開したことをまずは歓迎したい」と話しています。

 その一方で、両国がどこまで歩み寄りを見せたのかは不透明だとしたうえで「貿易摩擦の抜本的な解決には至っておらず、今後の動向を注視したい」としています。

 米中の貿易摩擦をめぐっては、29日のG20の討議でも取り上げられ、多くの国から懸念の声が出ていました。

NHKニュース&スポーツ2019年06月29日15時09分

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/nhknews/business/nhknews-10011974701_20190629

 今回のG20で、話し合いが期待されたのに全くされなかったのが「南シナ海」である。単純に「南シナ海問題」「ウイグル・チベット・内モンゴル問題」「香港民主化デモ問題」が話し合われなかった。最もトルコやサウジアラビアにその内容が必要なのかということは疑問が残るところである。しかし、当事者、例えば香港のデモなどは、その直前にデモの内容を取り上げてほしいということを求めるデモが起きているし、また世界ウイグル会議のラビア・カーディル代表が、G20に合わせて来日している。

しかし、それにかかわらず、G20では、その内容を取り上げなかった。これはいったい何を示すのか。

もちろん、取り上げなかったということが、そのまま「全く興味がない」とか「政治的な内容として取り上げるのに十分ではない」ということではないことは明らかである。ではなぜ取り上げなかったのか。それは「経済を優先した」ということでしかない。もちろん「経済を優先したから彼らがどうなってもよい」というのではないし、また、「南シナ海を中国に明け渡した」ということでもない。単純に言えば、「中国側からこれらのことを提起しなかったことによって、アメリカ軍もイギリス軍もフランス軍も臨戦態勢を解くことはない」ということになり、単純にアメリカ・イギリス・EUと中国の間の冷戦状態が続いているということになる。

ではその冷戦はいつ終わるのか。

単純に、これらのデモが長続きし、中国が軍事介入をするようになれば、間違いなく人権団体を含めた人々が中国に対して何らかのクレームをつけることになるし、また北朝鮮のことで例えば米朝同盟のようなものができれば、中国は東アジアにおいて強力な同盟国を失うことになる。このように考えた場合、中国側が「暴発する」可能性は非常に大きい。それにもかかわらず、なぜアメリカは一時妥協をしたのか。それは来年のトランプ大統領の大統領選挙であるといえる。一方の中国は、この経済戦争の対話が再開しても、実はアメリカの関税措置が終わったわけではない。そのように考えれば「これ以上の悪化を食い止めた」ということにすぎず、完全に外交では敗北したということに他ならないのである。その「外交に敗北した習近平を、今年の北戴河会議で長老たちがどのように評価をするのか」ということと、その会議の内容に応じて、習近平はどのような次の討手を行うのかということがある程度予想される。そのように考えれば、場合によっては来年の北戴河会議の後、そしてアメリカ大統領選挙の直前、つまり9月から10月にかけて、何か大きく動くのではないかという気がしてならない。

そのような、動きを予感させるG20期間内の米朝首脳会談ではなかったか。今後この米中両国に関係する世界情勢全体が一つ一つ階段を上がるような状況につながってゆくのではないかという感覚があるのだ、