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離れた場所にいても、音楽が好きという気持ちがバンドを繋ぐ。ー堀川サタデーズ

2019.07.12 12:34

今年、京都のライブサーキット「いつまでも世界は・・・」に出演し、まるで目の前に情景が浮かぶような表現力豊かな歌詞と演奏で、今、注目を集める3ピースロックバンド「堀川サタデーズ」。彼らは精力的に音楽活動をしながらも、それぞれが京都、奈良、大阪で社会人として本業も行なっている。一つのチームとして、自分たち音楽を作り上げるバンドという音楽活動の形。それぞれが違う土地で、それぞれの仕事をしつつ、バンドというチームをどう運営しているのか?今回はバンドにこだわり続ける彼らの情熱とそしてバンドの未来像に迫った。


profile

堀川サタデーズ

2013年4月、インターネット上のメンバー募集サイトで集まったメンバーで結成。何度かのメンバーチェンジを経て、現在の宮内(Gt&Vo)、松崎(Ba)、油谷(Dr)のメンバーに。2018年フルアルバム「horikawa saturdays」をリリース。京都、奈良、大阪でそれぞれが社会人として働きつつ、関西圏を中心に精力的に活動を行なっている。


音楽をするために、生活は犠牲にしない。


ー堀川サタデーズはそれぞれが関西圏で仕事をしつつ、もう6年ほど活動されていますね。

油谷(Dr):そうですね。宮内が京都でメーカーの営業。松崎が奈良で栄養士。僕が大阪の商社で総務の仕事をしています。


ー宮内さんがメンバー募集の掲示板で自曲をアップしたところから堀川サタデーズは始まったそうですが、フリーターをしつつ、プロ志向のメンバーを集めたい!という気持ちではなかったんですか?

宮内(Gt&Vo):それはあまりなかったですね。というのも、僕自体、フリーターをやりながら音楽活動をしていた時期もあったんです。でも、フリーターって思ったほど自由じゃないな、と感じることの方が多かった。ちゃんとした企業で働いている方が安定した収入を得ることができるし、いざという時、有給も取れる。だから、メンバーには音楽をするために、生活を犠牲にして欲しくはなかった。


松崎(Ba):僕も栄養士になる、という目標があったので、宮内のこの考えに共感しました。


宮内:今の時代、データの共有ができるし、たとえ月一回しか集まらなくても、曲作りはできるし、ライブ活動もできると確信していました。フリーターをやっていたからこそ、会社員でいることのメリットをすごく感じますね。

Gt&Vo.宮内


ーそれぞれが離れた場所で、それぞれ正社員として仕事を持っていると、練習の日程などを決めるのは大変ではないですか?

松崎:僕の仕事がシフト制なので、今はなるべく月単位で練習の日程を決めてもらっていますね。


宮内:あとはライブの直前に練習に入るようにしています。京都でライブだったら京都のスタジオ。大阪でライブだったら大阪のスタジオ。奈良でライブだったら奈良のスタジオ、というような形で。


油谷:僕らはそれぞれ住んでいる場所も離れていて、確かに毎週末にいつものスタジオで!みたいな活動は難しいんですが、その分、広い範囲で行動することができていますね。

Dr.油谷


ーバンド活動には人間関係もつきものだと思うのですが、そこに難しさや悩みを抱えることは?

宮内:僕が言うのも何ですが、うちのバンドは基本的にみんないいやつなんです(笑)全員が社会人として、家庭があったり、バンドとはまた別に社会人として仕事で揉まれているからこそ、多角的な視点を持っているんじゃないかな。


油谷:みんな基本的な価値観は同じだよね。


松崎:社会人としての仕事をしつつ、バンドをしていく。この軸を共有しているから、スムーズに活動できているんだと思いますね。


宮内:バンドにはマネジメントの仕事もつきものなんですが、僕が曲作りや音源のミキシング。油谷がライブの日程調整、というような形で、それぞれが負担にならないように役割分担しています。


ーバンド内のコミュニケーションはどんな形で取っていますか?

油谷:バンドのグループLINEですね(笑)


宮内:それぞれが遠くに住んでいて、頻繁に飲みにいくこともできないし、練習やライブの時にしか顔を合わせなくなる。だからこそ、他愛のない話題をLINEで共有するようにしていますね。


松崎:最近聞いてよかったバンドの曲とかMVとかめちゃめちゃ送り合っているよね。気づいたら通知が何十件も溜まっていることがある(笑)

Ba.松崎


ー仕事の愚痴とかを言い合ったりは?

宮内:あんまりないですね。


松崎:それより最近身の周りで起こった面白い話とかをみんなに話したりしていますね。


油谷:だから、お互いがしんどくない、ちょうどいい距離感で活動ができていると思いますね。


宮内:僕らはお互いが音楽好き、という共通の想いがあるし、愚痴や悪口を言い合う隙間がないんじゃないかな。


仕事をしていることを、バンドができない言い訳にはできない。


ー今は、メンバー同士、どんな目標を共有して活動していますか?

宮内:もっと自分たちを認識してほしい!もっと色んな人に聞いてほしい!という想いがバンド内で強くなっているんです。僕はバンドのフロントマンとして、演奏も曲のクオリティも、ここ最近、ようやく人に聴かせられるレベルになったという自信がついた。


油谷:自分たちに自信がついたからこそ、今、3人が上のステージに行きたい!もっと売れたい!という想いをビジョンとして共有しているよね。


宮内:でもやっぱり、バンドとしてレベルアップしたいという共通の目標を持ちつつも、生活の主軸は仕事をすることだと思っているんです。その中で、最近、ぐっと焦点を絞った具体像が見てきました。


ー具体像、というと?

宮内:バンドの収益化ですね。今後はビジネスとしてバンドを成り立たせて行きたいと思っているんです。


松崎:そのために、音源もDIYで制作して、なるべく経費を抑えるようにしています。


宮内:仕事と両立しながら、全国ツアーをしたり、バリバリ活動しているバンドはたくさんある。彼らは僕らの目標ですし、彼らを見ていると、仕事をしていることを、バンドができない言い訳にはできないなと感じますね。今はサブスクリプションが充実して、自分たちの音楽を発信できるインフラは整っているし、だからこそ、もっと関西の音楽シーンで認知してもらうために、戦略を練らなくちゃいけないなと。


松崎:ライブの自主企画をしたり、PV制作をしていきたいよね。


油谷:僕らは全員、音楽が大好きなんです。人生の中で、自分たちが主役になれるのが音楽。


宮内:だからこそ、本業とは違うビジネスとして成立させることで、自分が輝けるバンドという場所を守っていきたいんです。