【ちょっといい話】「おじちゃん、これで病院連れてって」と小さな兄妹が・・MKタクシーのエピソード集から
タクシー運転手です。
とある公園脇でゆったり休憩をしていた時のこと。
年の頃、小学校低学年くらいの男の子と
幼稚園の年中さんくらいの女の子が、
公園から飛びでて私に駆け寄ってきました。
なにかな?と思ったら、
二人は突然100円玉と50円玉をポケットから取り出し、
「おじちゃん、これで○○にある大きな病院へ連れてって。」
戸惑いながら、「どうしたの?」と聞くと、
「お母さんが救急車で大きな大きな病院に行ったので、連れていって。」と
男の子が答え、そして両手を合わせ、
頭を下げて切願をはじめました。
「これはただ事ではない。乗車料金はともかく、何とかしなければ。」と思い、
「落ち着いて。」と
諭しながらもう少し話を聞くと、
「お父さんと連絡が取れず、妹と二人で困っている。」といいます。
私は、「付近で救急指定病院といえば○○病院に間違いない。」と思い、
二人を乗せて病院に向かいました。
到着後、病院の受付の方に事情を説明したところ、
お母さんが搬送されていることが確認できました。
お母さんも大丈夫だということが聞け、ひとまずはホッとしました。
そして数分後、無事親子の再会を見届け、
念のため、お母さんに事情を簡単にお話した後、
私はその場を去りました。
「乗車料金は…仕方ないか~。」と自腹を切りましたが、
清々しい気持ちでいっぱいでした。
それからしばらくして、
なんと偶然にもその親子と再会することができました。
お母さんは、お子さんたちから事情を詳しくお聞きになったようで、
子どもたちの決死の行動に
「涙を流して喜びました」と話してくださいました。
どうやら、以前にも、MKドライバーに優しくしてもらったことがあったので、
「何かあったら、ハートのマークの人に。」とお子さんに言い聞かせていたようです。
それを聞いた私は、恥ずかしいやら、嬉しいやらで感動しました。
最後に、お母さんから、感謝のお言葉と不足していた乗車料金を頂戴し、
そして小さなお客様ふたりからは、「おじちゃん、どうもありがとう。」という、
今までで一番嬉しい「ありがとう。」をいただきました。