温見峠 後編
温見峠(ぬくみとうげ)
福井県にある峠の中で最もネームヴァリューのある峠。
標高1020mも県内の車が通れる峠としては第2位の高さです。
この峠のえげつない所は、峠直上で通行止めのフェンスがおかれる点。
前半をまだ見てない方は、「なんだその程度か」と思うかもしれませんが、既に大野市街からここまで1時間半という時間がかかっていることを忘れてはいけません。
そんな数々の恨みを一身に受けたであろうバリケードは、峠脇に打ち捨てられていました。
恨みを持つ者の仕業だな。
この先も通行困難な旨を示す岐阜県土木事務所の看板。
まぁでも大型車は間違いなくここまで入り込めないだろ!
7.7m以上の車どころか普通車以上の車が通れる道なんてどこにもなかったぞ!
岐阜県側も峠付近はなかなか無茶なヘアピンで標高を下げていきます。
そしてこの辺りは、最も整備が遅れた区間でもあります。
もともと岐阜県側は福井県側より整備が遅れていたのですが、ここの整備が完了して初めて温見峠区間のアスファルト舗装が完了したのです。
それも2000年代の話ですから、そう遠くない過去の話ですよ。
しかしそんな無理やりヘアピンカーブ区間は長くは続きません。
山肌にへばりつき徐々に標高を下げる、一般的な山岳道路が始まります。
しかし、そんな「あたり前」を重複する国道の王が許すはずがありません。
僕が初めて見たとき感動の雄たけびを上げた、あの道路構造が再び僕の前に姿を現したのです。
筒井峠に続いての登場!
というか全国的には圧倒的にこちらの方が有名!!
さぁ出てこい!!!
洗い越し!!
調子に乗って今回は4枚・・・(笑)
僕はこの洗い越しってやつが大好きなんですよ。
見てのとおり、洗い越しとは浅い河川に橋や暗橋を作らず、「そのまま道の上を流しちゃう」という最も原始的な渡渉(歩いてないけど)という方法を用いる道路構造です。
しかし水量は滋賀県道34号の勝ちだな。
小雨降る中でも水量はこの程度です。
もちろん台風の時なんかはえげつないことになってるんでしょうが。
確かに水量では劣る温見峠ですが、同じ分野でも圧倒的に勝っているものがあります。
それは洗い越しの数。
僕が確認しただけで6つの洗い越しを確認しました。
もちろん規模の大小はありますが。
その中の1つでてぃーだくんに体を張ってもらいました(笑。
意外と水量があること、流れが速いことがわかっていただけるかと思います。
まぁ僕も靴のままこの川の中に入っているので、この後非常に気持ち悪い状態で運転してたわけですが。
そして・・・、知ってはいたんですよ。
この先通行が出来ないことくらい・・・。
この先には温見峠の三大要素である「温見ストレート」「洗い越し」の最後の一つ、
「落ちたら死ぬ区間」
これがあったのです。
「落ちたら死ぬ区間」とはただでさえ狭い道幅が最狭になる約5kmの区間を指しています。
この区間では実際、転落死亡事故も発生していて、「落ちたら死ぬ!」という公が出す看板としては異例な強い口調の看板が設置されているのです。
しかし2004年10月の大規模の土砂崩れ以来、開かずのバリケードが鎮座していて、この先をうかがい知ることはできなくなっています。
しかしここがいけなくても迂回路がありまして、ちゃんと国道157号に帰還する道が案内されています。
ここから先はオマケみたいなもんなので、若干かけ足となることをお許しください。
これが迂回路の全容を写した写真です。
しかしこの日実は、某所で大雨災害が起こるほどのゲリラ豪雨に見舞われまして、写真がぶれぶれなのです。
カメラは水に弱い!
お許しを・・・。
見えにくいので解説すると、
国道157号→猫峠林道(レポ未・今回はゲートを撮影する為、どん付きまで進んだので市道黒津波越線)→折越林道(レポ未)→岐阜県道255号根尾谷汲大野線(ねおたにぐみおおのせん・レポ未)
以上のようなルートなんです。
この地図で見るとさぞ軽快なように見えるでしょうが、実はこの道。
わずか8kmほどの区間を迂回するのに30km近くの大迂回を強いられるのです!
さらに言うなら峠越えも2つ含みます。
まぁ「まともな迂回路があるならそっちを国道にしろよ」って話ですからね。
なかでも強烈なのが折越峠。
あまりの雨で詳細なレポはまた別の機会に譲りますが、ここはこれ単独でも来たい峠道!
最後にオマケ。
久しぶりに滝に打たれたような雨を経験しました。
写真は国道418号との分離地点。
大雨でワイパーをどんだけ動かしても、怖くて20km/h以上出せません・・・。
なにはともあれ、これで福井県最強峠を制覇しました。
いつか来る「落ちたら死ぬ区間」も含めた完全制覇は別の機会を楽しみにするとして、いよいよこれで福井県内の他の峠も本格的に攻める必要がありそうです。
覚悟を新たに。
以上、温見峠編